上手に焼けませんでした
夜雲様作
草食種 アプトノス
大きな身体とは裏腹におとなしく臆病な、草食種
危険には敏感ですぐに逃げてしまう。
アプトノスの親子が水辺の草原で草を食んでいる。
狩り人は腰に括り付けた鉄楯と片手剣に手を添え草原に身を伏せていた。
『アプトノスの生肉10s納品・・・・・契約金無しの初心者ハンターの最初の仕事・・・・・俺もぉ何回目だっけ・・・・』
アプトノスを半眼で見据える狩り人は若干青みがかった髪を草で覆い隠し
肌を大きく露出させた黄緑の下着、肌は体臭を消すために泥に塗れている
相手は嗅覚、視覚共に劣っているため、すでに狩り人はアプトノスの首の下にまで接近していた。
『せぇー・・・』
ハンターギルドから支給される最初の武器、ハンターナイフを右手に持ち左手で柄先を包むように握る、真上にある長い首に狙いを定め・・・・・
「のっ!! 」
刺突
「りゃぁ!! 」
アプトノスが痛みを自覚し反応を起こす前にハンターナイフを振り切り切断させる
夥しい血と共に首を失った胴体はゆっくりと草原に沈んだ。
「しゃぁ!血の臭いを嗅ぎ付けてランボスどもが来る前に剥いじゃいますかね、多めに獲って昼飯にするのもいいな」
ハンターナイフとは別のナイフを手に取り胴体の皮を裂き喜々として肉を剥ぎ袋に入れていく、薄く切ってそのまま口に運ぶ ニヤリと笑っている美味のようだ。
「ぁ、ヤベ」
3頭ほど遠くから駆けてくる鋭い牙をもった小型の鳥竜種ランポス
血の臭いに寄って来たのだ。
「充分剥いだし、撤退!!」
この島まで乗ってきた船へと踵を返し走る。
ランポス達は彼に目もくれず肉の塊へ群がるがランポス達にその肉を食べる事は叶わなかった。
「とっ!?」
船へと駆けて行く狩り人に一瞬巨大な影が落ちたのだ。
「うっわ初めて見た!!」
頭に巻きつけた草を取り影の方向を見る
空を舞うアプノトスとは比べ物にならないほど巨大な雌翼竜、リオレイア。
その足爪には肉の塊が見て取れた・・・・・・
ガリッゴリッ
こいつは石を食っとんのかと言われかねない音を口からさせて
へっぽこハンター、ユキトは船の甲板でレアに焼いた肉をスライスし、頑固パンと言う石の様に硬いパンの上に乗せガリゴリ食っていた。
「誰だ一切れ食うのに30分も掛かるパン作った奴ぁ・・・・・・」
この頑固パン、市民にまったくもって人気が無いが、力仕事関係の方々からは絶大な支持を受けている。
この石の様に硬いパンを食うために自然と顎の力がつき力が増すのだ。
作ったパン職人も、まさかトレーニングに使われているとは思わなかったろう・・・・・・。
「おい!ハンターの兄ちゃん、もうすぐ港だ。準備しな」
「サンキューおっさん」
片手剣と楯を腰に括り付け、パンくずを噛み砕き、立ち上がる
ユキトの目には蒼い海と港町イカリが見えていた。
「ハンターランク1、ユキト・オリハラ、クエスト終了しました」
「おつかれさま、50zになるよ」
「まいどどーも」
港町イカリに着いてすぐギルドに向かい報酬を頂く。ちなみに1zを円に直すと100円くらいだ
イカリのギルドは酒場を兼営しておりウエイトレスのオネーちゃんもギルドの人だ。
一度、腕相撲を挑んだのだが秒殺された・・・・・・頑固パンはリベンジのためである。
「おっ!ユキトくん生きてるかー?」
酔っ払いが絡んできた。
「生きてるに決まってんでしょうが・・・・・生肉納品しかしてな・・・・・・・・・・・
ランポスがいた・・・・・・・、ハンター仲間の女友達がランポスの口から顔を出して笑っている・・・・・・・ランポスフェイクってヤツか・・・・・
「ランポス狩って作ってもらった〜〜♪」
「キモイっすハナビ先輩」
「( ´゜д゜`)エー可愛くね〜?」
この美的センス皆無の女性はハナビ、弓使いのハンターである
13回目の生肉クエストの時だった。
「そこの剣士!!! 」
「へ?」
俺はラプノトスを切り倒し肉を剥いでいた、急に声をかけられ振り返って見ると、皮の鎧を身に着けたポニーテールの女性が弓を限界まで引き絞っている。
「避けろ!!」
叫ぶやいなや矢を放つ女
「でぇぇぇ!!!????」
眼前に迫る矢を倒れながら必死で避ける。
ハンターボウから放たれる矢の最高速度は195km、よく避けれたな俺
耳元にゴッ!という風切り音が残っていた
「何すんじゃコラ!!」
ギャゥゥゥゥ・・・・・
矢の飛んでいった方向に目をやる、通常のランボスよりも二周り大きなドスランポスが首に矢を受け倒れていた。
「やっと倒せた〜〜〜キッツーーー・・・・・」
よく見るの彼女の鎧は所々鋭い爪痕を残している
「ごめんね〜あの青トカゲ野朗、こっちに逃げてきちゃってね」
「あっぶねーな!!当たったら死ぬぞ!!??」
「よけろって言ったら避けれたじゃん。うん、素質あるぞ君!♪」
「話をすげかえるな!!!」
「さーて矢の材料の牙を抜きますかねー」
「マテェェェ!!!・・・・・・あっ!」
ギャゥゥ!!
首を矢で貫かれたはずのドスランボスの目に光が戻る
「ヤバッ!!?」
「チィッ!!」
とっさにハンターナイフを引き抜き
襲い掛かるドスランボスの顎から脳を切り裂く、斬り上げ。
ギィン!!
だがドスランボスの硬い皮膚はハンターナイフの刃を弾く。
ギャ!ギャァァ!!
だが、それで良かった
「往生・・・・・・・しやがれ!!!!!」
その隙に彼女の放った矢が至近距離でドスランボスの脳を貫いた。
「「あ・・・・・・・・あぶねーーーー・・・・・・」」
それ以来・・・・ギルドの酒場に寄るとハナビ先輩に絡まれてます・・・・・