輪廻
ダイナ様作
世界はすべてが巡り回って生きている。
植物も生き物も空気も。すべてのものがそうやって生きている。
俺は土に帰ろうとしている。
生き物が還るべきである母なる大地に。
悔しくはない。怖くもない。
本来あるべきところに還るだけだ。
目だけでそれを見た。
俺が土に還る理由を作ったそれが咆哮をあげている。
赤い体と翼を広げ咆哮をあげている。
天空の王者と呼ばれるそれが俺に近づいてくる。
怖くはない......
天空の王者が大きく口を開けた。
そして俺は土の一部となった。
そこで王者はまた咆哮をあげた。
世界の一部であるために...
世界は回る...
世界の一部であるために
「朝か,,,」
カイトはそこで目を覚ました。
なんか変な夢だったな。そんなことを思いながらけだるい体を起こした。
「今日はついにドスランポスを狩りに行く日か,,,。」
壁に掛けられたアサシンカリンガを見ながら、カイトはつぶやいた。
朝食をとり、ハンターシリーズに身を包んでアサシンカリンガを手に酒場を目指して家を出た。
「おはよう、村長。」
カイトの挨拶に酒場のカウンターの受付嬢(名前をアヤというらしい)と話をしていた人物がこちらを向いた。
「やあ、カイトじゃないか。」
「おはようカイト。」
二人がカイトに向かって挨拶を返してきた。
「今日はドスランポスを狩りに行こうと思うんだ。」
すると村長が、
「そうか、ドスランポスはランポスたちのボスだ。体力も力もランポスの数倍ある。気をつけて行ってくれ。」
アヤは下を向いて黙っていた。
「アヤ、クエストをクエストを受けさしてくれ。」
「わ、わかったわよ。クエストにでも何でも行ってくればいいでしょう。その代わり死んだら恨んでやるんだからね。」
その睨むような視線になかば押され、苦笑いしながら「おう」と答えカイトはクエストを受注し、酒場を後にした。
青き狩人の頭、ドスランポスの討伐のために,,,。
「さてと,,,。」
ドスランポス討伐のためカイトは密林にいた。
「やっぱうまくねえな,,,。」
そう言いながら携帯食料をほおばる。
「洞窟の中を見回りしているって言ってたな。」
そう言いながら地図を広げてエリアを確認する。
「よし。」
地図を片づけ、必要なものだけを持ちカイトはキャンプを後にした。
「いたいた,,,。」
洞窟の開けた場所にそいつはいた。部下のランポスを4,5匹引き連れドスランポスがいた。
カチャ。
閃光玉を片手に持ち飛びかかる準備をする。
カッ。
まばゆいばかりの光があたりを包み込む。
「よしっ。」
片手にペイントボールを、もう片方の手にはアサシンカリンガを握り一気にドスランポスに走り寄った。
走りながらペイントボールをドスランポスに投げつけた。とたんに鼻につく臭いがあたりに漂う。
それでドスランポスも気づいたが、いまだ目が眩んでいるらしい。
(時間の勝負,,,)
飛びかかりながらアサシンカリンガを縦に一閃する。
ドスランポスの左目をえぐりながら振り下ろされた剣を次は横に一閃する。
右手をメキメキと言わせながら切り落とす。
これで止めだ、とアサシンカリンガをドスランポスの眉間めがけて振り下ろそうとしたその時!!
ドン。
「ガハッ。」
思いっきり横に吹き飛ばされた。視力の回復したランポスが飛びかかってきた。
全身がミシミシ言っている。起きあがれない。呼吸も怪しい。
ドスランポスの視力も回復したようだ。怒りに目が血走っている。
もうだめなのか,,,,,,。
絶望が頭の中を満たしていく,,,,,,,,,。
(悪いなアヤ。帰れそうにないかもな。)
軽く微笑んでみる。そうすることで絶望の中に安心を求めようとした。
(もう終わりかぁ...。)
目を閉じるとアヤが泣いている...。
何で泣いているんだ.........。
オレガシヌカラ?
(そっか、やっぱ泣かすわけにはいかねえか...。)
カイトはポーチから一つの玉を取り出した。
それを宙に放り投げると辺り一帯が光に包まれた。
獲物をとらえたうれしさでこちらを向いていたドスランポスたちはその光に目を眩ませた。
応急薬を一つ頭からかけ、もう一つを一気に飲み干した。
(き、きっく〜)
傷口がジュ〜と煙を立てるのも気にせず、カイトはドスランポスに斬りかかった。
(ここで決めなければ...待ってるのは死だ!!)
ドスランポスの頭を地面に叩き付け、その首にアサシンカリンガの刃を当てた。
(悪いな。これで終わらせてやる。)
力を入れ地面をひっかくように刃を引いた。
ゴトッ。
それまで少しでも見えない敵を威嚇しようと叫び声を上げていたそれは、断末魔の声を上げることなく絶命した。
(今まで生きてきたオマエの分まで俺は生きる。世界はそうやって動いているんだからな。)
弱肉強食
もう動かなくなったモノから使えるものを持てるだけ剥ぎ取り、アタマを掴んでカイトは村まで戻っていった。
(まずは帰ったらアヤに飯でも作ってもらうか。んでビールを飲んで風呂入って寝る...。いつも通りの狩りの終わり方だ。特別なことは何もない。)
そんなことを考えながら、カイトの前には村の明かりが見えてきた......。
「ひまだなぁ...。」
カイトは自宅のベッドの上でぽつりと呟いた。
先日カイトはドスランポスを討伐することに成功したのだが、その時に受けた傷が思ったよりもひどくアヤに(無理矢理)けがの治療をされた。
(けがも治ってきたしいつまでも寝ているわけにはいかねえしな)
カイトはベッドから出るとまずは工房に向かった。
「ばあちゃーん、頼んだもん出来てる〜?」
すると工房の奥から一人の老女が現れた。
「なんじゃ、カイトか。オマエさん傷はもう大丈夫なのかい?」
「大丈夫さ!!いつまでも寝てたらなまっちまうよ。」
「そうかい、お〜そいや頼みもんだったね。さっき出来たばっかりだよ。」
そう言ってその老女は工房の奥から剣と盾を持ってきた。
「はいよ、ドスバイトダガーだ。大事に使うんだよ。」
そう言って渡された片手剣はドスランポスのトサカを鋭くしたモノを刀身に使い、高い攻撃力と切れ味を備えたモノとなっている。
今までの技術では出来なかったらしいのだが、ばあちゃんの覚えている竜人の古代の技術と現在の最新技術を融合させてできた片手剣であった。現在はこういった技術の融合が街でも行われていていろんな分野の新しい武器が開発されていた。
「ばあちゃん、ありがと。金はまた持ってくるから。」
そう言ってカイトはドスバイトダガーを手に取り酒場に足を向けた。
「村長こんにちは。よっアヤ。」
片手をあげながらそう挨拶をするとアヤがなにやら怒っているようだった。
「な、なに怒ってんだよ?」
「べつにー。けがも直っていないのに歩いているバカにあきれているだけですー。」
「もう大丈夫だよ。アヤは心配性なんだよ。しわが増えるぜ?」
「うっさいわね。ほっときなさいよ。」
「じゃあオマエも俺のことほっとけよ。」
「それはそれ、これはこれよ。」
そこで村長が俺とアヤを止めに入った。
「まーまー、カイト君もアヤ君もそこまでにしときなよ。カイト君それ新しい武器かい?」
「そうですよ。ドスランポスの頭から作ったドスバイトダガーです。」
そう言ってカイトはドスバイトダガーを二人に見せるように抜いた。
「そうかい、それでこれからも頑張ってくれよ。そうそう今酒場の改修を考えていて...。」
そこまで言うとアヤが村長の言葉を遮った。
「ホントですか!!いつですかいまですかどのぐらい大きくなるんですか!?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。改修と言っても大きくする訳じゃないんだ。」
「そ、そんなぁ〜。」
「まーいいじゃねーか。んで具体的には?」
「うん、まずは水車をつけようと思っているのだがいかんせん資金が足りない。そこで、カイト君に街で売れそうな素材を集めてきてほしいんだ。」
「なるほど、そ〜ゆうことなら任せて下さい。俺頑張りますよ。」
「そうか、ありがとう。この間のドスランポスの皮がもう少しと大猪の皮が欲しいんだがやってくれるかい?」
「ドスランポスはわかるが大猪って?」
すると村長の顔が急に真剣になった。
「ドスファンゴと言ってブルファンゴたちのボスだよ。まあブルより大きいだけだからドスランポスよりは簡単だと思うんだけどね。」
「わかった。じゃあ素材が手に入ったらまた声をかけるから。」
「ああ、よろしくたのむよ。」
そう言って村長は市場の方へと歩いていった。
「ということでこれからまたドスランポスの討伐に行きたいんだが...。」
するとアヤがあきらめたように...
「は〜、しょうがないわね〜。はいこれ。今度は無傷で帰ってきなさいよ!!」
そうやって渡された紙に自分の名前を書き込みカイトはまじめな顔でアヤに顔を近づけていった。
「な、なに!!ちょ、やめてよ。だめだって...。こんなところで...。」
そう言いながらも瞳を閉じ何かを待ちかまえているアヤ...。
...。
なにも起こらないことに疑問を感じたアヤが目を開けるとテーブルの上に一枚の紙を残しカイトはいなかった。
ごちそーさんでした
「なっ。」
その紙を見たとたんアヤの顔がみるみる紅くなっていく。
「く、食い逃げ〜〜〜〜!!!!!」
「わははははははは」
笑いながらカイトはクエストに向かっていた。
(今よりも強くなってやる。村のみんなを守れるように。大切なモノを守れるように。「俺の世界」を守れるように。)
そう決意しカイトは走っていく.........。
ガタゴトガタゴト
そんな音を立てて酒場の隣にある水車は回っていた。
「くっは〜〜、うめ〜〜。仕事上がりのいっぱいはやっぱりサイコ〜だな。」
片手にビールの入ったジョッキを持ちながらカイトは酒場にいた。
「あんただいぶケガしなくなったわね。やっぱり強くなってんのかしら?」
とアヤが疑問を投げかけている。
「んなことね〜よ。俺は精一杯生きているだけさ。あいつらだって一生懸命生きてんだよ。俺のほうが想いが強かっただけなんだよ。」
そう言うカイトの表情はどこか愁いを帯びてどこか大人の雰囲気をかもし出していた。
(な、なによ。いつの間にこんな大人っぽくなったのよ。)
そんなカイトの表情にドキッとしながらもアヤはどことなく嬉しそうだった...。
早朝......
「ひ、飛竜が現れたぞー。」
イァンクック。
それは最弱ながらも生態系の頂点に君臨する飛竜種の一種である。
そんな飛竜がながらく主のいなかった村の近くの狩り場にやってきたのだ。
「やっぱ、俺が行くしかなよな...。」
酒場で朝食を食べながらカイトはそう決意した。
「無茶はしなくていいんだよ。相手はあの飛竜なんだ。今度こそ死ぬかもしれないんだよ?」
村長は本気で心配している。アヤは半ば諦めたようにカウンターに肘をついてブスッとしていた。
「ほっとくわけにはいかないしな。それに街に依頼すると金がかかるだろ?村がこれからって時にそれはもったいないしな。まぁ討伐できなくても撃退ぐらいはしてみせるさ。」
ニコッと笑いながらカイトはそう答えた。
「ということで依頼書作ってくれよ。」
そう向けられた言葉にアヤはやっと口を開いた。
「あーもー!!あんたの事だから止めても行くんでしょうね!!いいわ、作ってあげる!!その代わり生きて帰ってきなさい!!死んだら殺してやるんだから!!」
アヤの怒号にあっけにとられた後、一つため息をして笑いながらこう言った。
「わかったよ。俺も二回も死にたくないしな。アヤの料理が旨くなるまで味見もしてやらなきゃいけないし。簡単には死ねないな。」
依頼書に名前を書き込み、カイトは酒場を出て家に向かった。
バトルシリーズに身を包み、カイトは自分の得物を砥石で研いでいた。
ドスバイトダガー改
ドスバイトダガーをランポスの牙と鱗、さらにドスランポスの皮で強化したもので攻撃力も切れ味も数段上がっていた。
「しゃっ、行くか!」
回復薬に砥石、ペイントボールに肉焼きセット、必要と思える物を竜車に乗せカイトは狩り場に向かった。
(やっぱまじいな。)
支給品の携帯食料をかじりながらカイトは地図を見ていた。
(飛竜の巣になるのはエリア7か6。けどイァンクックは最近はヤオザミを主食にするって聞いたことがあるしな。最初はエリア4に行ってみるか。)
地図をたたみ、必要な物とあるものを背負ってカイトはエリア4に進んだ。
(いたいた。ホントにヤオザミ食ってるよ。)
そこではイァンクックがヤオザミの殻以外を一生懸命食べていた。
(さてと。イァンクックは目が悪いらしいからっと、コイツを人に見えるようにしてっと。あとは...。)
ガサッ。
なんだ...。
あれはなんだ?
ニンゲン?
そうか...。
また来たのか...。
ならばいつものように...。
殺してくれるわ!!
イァンクックがカイトの用意したそれに突っ込んで来た。
(よしっ!!)
イァンクックがそれに食いつこうとした瞬間、カイトはそれに向かって石を投げた。
ドゴォォォォォォォォン!!
大きな爆音と共にそれは爆発した。
大タル爆弾。
小さな衝撃でも爆発するそれは危険な物だが使いこなせば強力な武器となる。
カイトはドスランポスやドスファンゴ相手にこういったアイテムを使った狩りの訓練もしていた。
爆発の後の煙の中からはクチバシが割れ、頭から首にかけて鱗のとれたイァンクックがいた。
(このままたたみかける!!)
カイトはドスバイトダガー改を抜き、イァンクックに斬りかかった。
そしてカイトがイァンクックに数太刀浴びせたとき、
クェェェェェェェェェェ!!
「グッ!」
カイトはイァンクックの足踏みにはじき飛ばされてしまっていた。
(しまっ...)
と思ったときには時すでに遅く、イァンクックはカイトめがけて尾を振っていた。
「グァハッ!!」
盾を構えようとするも間に合わずカイトは大きくはじき飛ばされ地面を転がった。
(肋骨にひびが入ってるな。ハンターシリーズならお陀仏だな。)
そんなことを考えながら剣を支えに立ち上がった。
イァンクックはカイトを威嚇するのにいななきをして、翼を広げ空に飛び上がった。そしてそのままどこかに飛んでいった。
(あの傷ならほとんど瀕死だろ。なら行く先は巣であるはずのエリア6。)
応急薬を一つ一気に飲み干し、カイトはエリア6に急いだ。
カイトの思ったとうりにエリア6でイァンクックは寝ていた。
カイトは地面にキャンプから持ってきたものを埋めるとイァンクックにペイントボールを投げつけた。
そしてカイトはイァンクックが目を覚ますと背を向けて走り出した。
イァンクックはカイトを追いかけ走り出した。
自分の運命がそこで終わるとも知らずに......。
おのれ...。
ニンゲン風情が......。
殺してやる.........。
殺す殺す殺す殺すころすころすころすコロスコロスコロスコロス...。
殺してやる!!!
あと少し...。
ボスッ。
あとすこ、し?
なんだ?
なぜ私の体が地面に埋まっている?
なぜだ......。
「悪いな。これで終わりにしてやるよ...。」
ああ、そうか...。
これで終われる...。
こ、れですべ、てが終わ、る.........。
イァンクックの眉間に刺されたドスバイトダガー改を抜くと、カイトの口から安堵のため息が出ていた。
(なんとか倒せた.........。これが飛竜か...。)
ドスバイトダガー改を腰に納め、剥ぎ取りナイフを抜く。
(これからのためにオマエの体の一部をもらうよ......。悪いな...。)
討伐の証となる物をポーチに詰め込み、カイトはキャンプに戻った。
(これから飛竜が相手になってくるとこれじゃぁ厳しいな...。)
ドスバイトダガー改を見ながらカイトは思っていた。
小回りが効いても一撃の威力が小さければ厳しい...。
運動性を失わずなおかつ一撃の威力が大きい武器...。
新たな可能性を求めながら、カイトは帰りの竜車に乗り込んだ......。
「あっちぃな〜」
ドスガレオスの剥ぎ取りをすまして、カイトはそう呟いた。
(これで金が集まるかな...。)
背中に背負ったものを見た。
鉄刀「禊」
鉄鉱石、マカライト鉱石を融結させた物を大地の結晶で磨き上げた物だった。
太刀と分類される武器は威力は大剣には劣るものの、身軽さでは上をいっており使い方しだいでは大剣に勝るとも劣らぬものだった。
最初のイァンクックとの戦いから2ヶ月が過ぎ、カイトはドス系のモンスターやゲリョス、甲殻類くらいまでのモンスターまでなら倒せるようになっていた。
「もうここには用はないし帰るかな...。」
クエスト完了を意味する発煙筒に火をつけカイトは帰りの竜車が来るまでの時間をどう過ごすか悩んでいるのであった...。
「んじゃばあちゃん、よろしく頼むよ。」
ドスガレオスの狩猟から帰ったカイトは家から鉱石類を持って工房に来ていた。
「まかせんしゃい。明日には出来ると思うからまたおいで。」
その言葉を聞くとカイトは酒場に行くことにした。
「アヤ〜、腹減ったよ〜。」
「はいはい、もうちょっと待ってなさいよ。」
そう言いながらアヤは調理場で飯を作っている。
そして彼女の首からはペンダントがかけられていた。
ライトクリスタルとマカライト鉱石、さらに氷結晶を混ぜ合わせと物で完全に解け合っていない3つの鉱石が綺麗な輝きを放っていた。
世話になっているお礼にばあちゃんに頼んで作ってもらったのだが、ばあちゃんやその弟子、さらには船乗りのおっさんや道具屋のアイルーまでがカイトをからかうのだった。
しかしそれもアヤにはかなわずことあるごとにペンダントのことでからかってくるのだった。その度にやらなきゃよかったと思うカイトなのだが...。
ア、ア、アヤ、こ、これ...。
わっキレ〜。これあたしに...?
あ、ああ。その、世話になってるしな...。
へぇ〜。カイトがこんなものくれるなんて思ってなかったわ〜。ねえつけていい?
いいんじゃねえか。おまえにやったんだからな。苦労したんだぜ。ライトクリスタルなんか全然出てこねえし、ばあちゃんには金取られるし......。
えっ、これ買ってきたんじゃないの?
え、ああ。まぁその...の...めに...。
え、聞こえないよ。もっと大きな声で言ってよ。
まぁその、お前の為に、頑張ったと言うか、なんというか.........。
その時のアヤの顔は忘れる事は出来ないだろう。
抱きしめたくなるような今にも嬉しさで泣き出しそうな笑顔で...
「ありがとう、カイト。」
と言われたのだから、からかってくるのも許してしまう気になってしまう。
その度に顔が赤くなる理由をアヤは知らないのだが...。
(またあの顔が見たいからな。これからも頑張って生きて帰るか...。)
「なに人の顔見ながら笑ってんのよ?」
アヤが飯を机の上に並べながら問いかけてきた。
いつのまにか笑っていたらしい。
「あぁ。これからも頑張るかなって思ってな。」
出されたビールをグイッと飲みカイトはそう答えた。
「ふ〜ん。まぁあんたにはこらからも頑張ってもらわないと村の成長が止まっちゃうからね。これからもビシビシ働いてもらうからその後にへばってね。」
にっこりとさわやかな笑顔でなんか恐ろしいことを言われた気がする。
(あ、悪魔だ。こいつ人じゃねえ。)
頭を抱えながらカイトはそんなことを考えていた。
「それに死なれたら私が悲しいじゃない.........。」
聞こえるか聞こえないくらいの声でアヤは呟いた。
「なんか言ったか?」
「別に。気のせいじゃない?」
そう言うアヤの顔は少し赤くなっていたような気がした......。
古龍
それは遙か昔から人々に畏怖されてきた。自然の力を身につけたそれらは飛竜よりも上の存在として、文字どうり頂点として存在していた。
風翔龍クシャルダオラ
風を操る力を身につけた龍を人々はこう呼んだ。目撃例は少なく、それはそれを見た者のほとんどが帰ってこなかったからだと言われている。
その龍がジャンボ村付近の密林で目撃されたという情報が入ったのは昨夜の事だった。
「だいじょ〜ぶだって。心配しすぎなんだよ、みんなは。」
そう言うカイトの前には村の人々が集まっていた。
風翔龍クシャルダオラの討伐、あるいは撃退
そのクエストをカイトは受けたのだった。
最初はカイトを死なすわけにはいかないと村の人々と村長が話し合って村を捨てる事を決めたのだがカイトの説得によりこのクエストは受注された。
「俺はハンターだ。ハンターが狩ることを止め、モンスターから逃げたらそれはもうハンターじゃない。ただの人になっちまう。それに俺はこの村が好きだ。みんなが好きだ。だから守りたい。絶対に死にはしない、必ず生きて帰ってくる。だから行かせてくれ...。」
「いいね。危ないと思ったら帰って来るんだよ。モドリ玉を渡しておくから。」
「ありがとう村長。じゃあ俺頑張ってくるわ。」
村の人々と別れ、家の前にいる竜車に乗り込もうとしたとき...
「死んじゃイヤだからね?」
後ろから声が聞こえた。
振り向くとそこにはアヤがいた。
声にはいつものはりが無く、肩は振るえていた。
「なんだ、泣いてんのか?」
「うっさいわね。別に泣いてなんかないわよ。」
アヤは俯きながら震える声を出していた。
「やっぱ泣いてんじゃね〜か。」
「う、るさい...。さっさと、行けば、いい、じゃない...。」
泣かないって決めたのに...。笑って送るって、決めてきたのに...。
はぁ。
一つため息をしてカイトはアヤを抱きしめた。
「さっさと、行って、きな、さいよ...。」
「必ず生きて帰ってくるから。だから笑って送ってくれよ。それじゃ死にに行ってるみたいじゃねーか。」
カイトは満面の笑みでアヤを見た。
それを見たアヤも泣きながら笑った。
「約束してよね。ちゃんと帰ってくるって。」
「約束するよ。ちゃんと帰ってくる。ってかお前の不味い料理食べなきゃいけないしな。」
「ヒドッ!!もぉ〜さっさと行ってきなさいよ〜。」
カイトの抱き締めから逃れようとするアヤをカイトは一層強く抱きしめた。
「それに俺はこれからもお前を守っていきたい...。」
「............ぅん。」
竜車に乗りカイトは密林を目指す。
頭以外をフルフルシリーズに身を包み、背中には斬破刀を背負った雄姿がそこにはあった。
大切なモノを守るため、世界の一部であるために......
カイト、後に「白き稲妻」と呼ばれる彼の明日の為の戦いはこれから始まるのだった......。
完
あとがき
大変長くなって申し訳ないです。
初めてモンハンの小説を書かせてもらったんで読みにくい物になってたらスミマセン。
基本的に自分のプレイ日記みたいな感じで書きました。
最後のクシャルダオラはちょっとゴメンナサイってことで(^^)
続きを書けたら書きたいと思います。その時にはカイトやアヤ、あとミナガルデなんかも出したいと思います。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
またのご来店をお待ちしております。