狩人の鎮魂歌 第二部
ダイナ様作







狩人の鎮魂歌 【第二部】




「今だ、エル!!」
大剣を振り回しながらタツヤは叫んだ。
今彼の目の前には閃光を発しようとするゲリョスがいた。
「これで、どうよっ!?」
ボスンッ
エルの持つショットボウガン・碧から鈍い音が放たれる。
ゲネポスの素材から作られるそれはサポートにおいても、戦闘においてもエルにとって頼れる相棒となっていた。
ガッ、ゴォォォォォォォォン
エルの放った徹甲榴弾Lv1は大きな音と共にゲリョスのトサカを破壊した。
「やったぁ〜!!」
凄まじい衝撃と共に自らの体の一部を破壊されたゲリョスは何が起きたかわからず気付いたときには地面をのたうち廻っていた。
「オオォォォォォッ!!」
ゲリョスの目の前で力を溜めるタツヤの手には大剣ゴーレムブレイドが握られていた。以前は鉄製のバスターソードを使っていたのだが初めての飛竜戦で折れてしまい、このゴーレムブレイドを一から作ったのだった。
(こいつで......終わりだっ!!)
ザッ、ジャァァァァァァ
溜め攻撃と言われる渾身の一撃を腹部に繰り出しゲリョスは内蔵を飛び散らせてその生涯を終えた...。

「ふぅ〜、終わった...。」
大剣を背負いながらタツヤはそう声に出していた。
初めての飛竜戦からもう2ヶ月が過ぎた。あの時は苦戦したけど今ではイァンクックぐらいまでなら苦戦はしなくなっていた。
「ちょっとタツヤ!!なんでこんな気持ち悪いことしてんのよっ!!せっっっかくわたしがサブクエストでトサカ破壊してもこんなにしたら意味ないでしょっ!!」
ショットボウガン・碧を背負いながらエルがこちらに歩いてきた。
「しゃ〜ねえだろ、首切ったら毒が出てくるし、足なんか切っても意味ね〜んだから。ここしか無かったんだよ!!」
「ふ〜、まぁいいわ。倒せたことに代わりはないから。」
ハンターをエルと同じ時期に始めて、今までパーティーを組んできた。それでお互いに気の知れ合う仲間でタツヤは酒場のアヤを、エルはハンターの白い稲妻に憧れてるってことになってたのに......。
「2人ともまだまだだね。まだ無駄な動きが多いよ。」
「あっカイトさ〜ん。」
そぅ...この人、白い稲妻ことカイトさんに俺がエルを、その、なんというか、好き?っっっっじゃなくてっ!!気になっているってことをばれたんだよなぁ。
「エルは命中精度が悪いな。2回に1回しか当たらないんなら危険すぎる。最低でも5回に4回、8割は当てないとこれ以上高みには行けないよ。」
「うぅ〜〜〜〜。カイトさん厳しいょ〜。」
この拗ねるような顔もいつのころからか気になりだしたんだよなぁ〜。
「さてタツヤはだが大振りが目立つな。ゲリョスくらいまでなら大丈夫だが、リオレイアやそれ以上になると厳しいからな。もっと体全体を使って早く振るようにしないとな。」
「だって重たいんだもん。そりゃカイトさんは太刀だから軽いけど...。」
武器の軽さのせいにしてしまったこの一言がカイトさんのしごきをさらに厳しいものにするとはこのときは知らなかったんだ。
「大剣を借りるよ。」
ニッコリと笑いながらカイトは大剣を手に取り......横に一閃させた。
スッ、ズ、ズ、ズゴゴゴゴゴゴォォォォォン
「これぐらいは出来るようになってもらいたいな。」
そう言って振り向くカイトの背後には真っ二つになった大岩があった。
(ア、悪魔だ。お、俺たちをしごいて楽しんでるんだぁ〜〜〜!!)
そんなタツヤの心の声も聞こえず、次の日ベットの上には全身筋肉痛で体中がギシギシと鳴るタツヤとエルの姿があった。

「うぐぐ、体が痛いよ〜。」
カイトさんの(地獄を見るような)しごきのせいで体のいたるとこで筋肉が悲鳴を上げている。
「う、動けないぃ〜。」
「朝っぱらからだらしね〜な〜、エル。あれぐらいでもう筋肉痛なのかよ。」
なんでタツヤはあんな平気なの!?男と女の差!?なに、それともタツヤは軽くしてもらってんの!?ってことはカイトさんってホモ!?
「なぁ、百面相って見てて気持ち悪いんだけど...。」
「おはようっ!!」
ポンッ
「あっ!!」
タツヤの後ろからカイトさんが挨拶をしてきたのはいいんだけど...。
ガクッ
「あれ、タツヤ。あんたその足は...まぁ〜さぁ〜かぁ〜。」
「違うっ!!断じて筋肉痛なんかじゃないぞ!!こ、これはカイトさんの力が強かっただけだ!!」
「人をバケモノみたいに...。まあいいや。今日は話すことがあるから朝飯を食べながら話そう。」

(なんかなぁ、あいつ最近変わったんだよねぁ。ん〜どこがと言われればよくわかんないけどなんかしっかりしてきたというか、がっしりしてきたというか。
体つきもなんか大人って感じがしてきだしたし、顔もなんか輪郭とかがしっかりしてきて格好良くなってきたっていうか大人っていうか。)
「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
その大声に考えてることを読まれたのか、と思いながらエルは考え事を止めた。
「え、なになに。なんの話?」
「オマエ話聞いてなかったのかよっ!!」
「うっ。」
図星のためなにも反論ができないエルはカイトに救いを求める視線を投げかけた。
「エル?」
「はい?」
「明後日にリオレイア、倒しに行くから。」
「はいっ!?」
「疑問系じゃなくて...。そろそろ2人でも倒せるだろうと思ってね。もうクエストは受けてきたから。じゃあそういうことで。また明後日の朝、ここに集合ね。」
「「ちょ、ちょっと待って...。」」
そんな2人の声を無視してカイトは家を出て行った。
「う、うそだろ...。」
「カイトさんが嘘を言うような人には?」
しばし考えるタツヤとエル。
「「み、見えない。」」
...この日の朝食は忘れられない味がした......。














By Mind of Hunting