Monster killer
クロノ様作
Monster killer [イザコザ]
ぼくは震える手で街にある酒場の扉を開けた。
ここからが本当の始まりだ。
ぼくは今まで村では狩りをしてきたがそんなものは、ここ、街に来るための訓練という風にぼくは考えていた。
実際に村に依頼されるクエストよりも街に依頼されるクエストの方が難易度が高い、つまりモンスター達が強いと言う事。簡単にいえば死ぬ確率が村よりも上がった訳だ。
だが上がったのはモンスターのしぶとさ、それだけじゃない、それは報酬金だ。
素直に言えばぼくはこの報酬金の高さに目が眩み、街に来た。
もちろんそれだけじゃない。強いモンスターと戦ってみたい、という好奇心もぼくがここに来た理由だ。
そしてやっと村長に力を認めてもらい街に来て、街のハンターとしてハンター登録をするために酒場の扉をあけた。
酒場の中には酒を飲みアホみたいに笑っている奴、なぜか倒れてる奴、食い物をどっちがはやく食べれるか、競争をしている奴、など馬鹿みたいな事をしている奴が大勢いるのがぼくの目にはいった。
そんな馬鹿共いや一応先輩だから馬鹿はまずいか、とにかく街のハンターを横目にぼくは受付嬢の人がいるカウンターへ向かった。
受付嬢の人は金髪のハンターと話していた。
「あのさぁー、明日俺と一緒にどこかいかない。」
ナンパだ。村のハンターにも受付嬢を口説く奴がいたがまさか街にもいるとはぼくも予想していなかった。
「無理です。私は受付嬢ですから常にここにいて仕事をしていなきゃいけないの。」
ぼくはすっかり話かけるタイミングを見失った。いやこの状況で、ハンター登録をしたいのですが。なんていったら恐らくナンパをしているハンターに何かを言われる。
街に来て早々いざこざを起こすなどぼくは御免だ、ここのハンターになってからもいざこざになるのは嫌だが。
とにかくぼくは様子を見る事にした、ぼくの中ではこれが賢明な判断だと思ったからだ。
「そんな事言わずにさぁー・・」
諦めの悪いハンターだ、相手が無理だと言っているだろ、諦めろよ。
「無理って言っているでしょ、用がすんだのなら帰ってよ。」
まったくだ。ぼくのハンター登録が長引くだろ。
「受付嬢ならさぁ、ハンターの言う事聞けよ。」
「それとこれとは話が別です。」
「んだとぉ、優しくしてりゃ、調子に乗りやがって。」
調子に乗っているのはお前だろ、とっとと消えろ。
そう思っている時、諦めの悪いハンターは腰につけているポーチから、ナイフをだすのがぼくには見えた。
そのナイフを見た瞬間、反射的にぼくは受付嬢とナンパハンターの方へ走った。
ガシッ。ナンパハンターが受付嬢に向かって突き出そうとした腕を掴んだ、いや掴んでしまった。
ぼくはあくまでこのやりくりを見ているつもりだった。なのにハンターとして鍛えられた反射神経がナイフを見たことによって反応、自分の意思とは裏腹にナンパハンターの腕を掴み、受付嬢を助けたのだ。
結果的には受付嬢が助かってめでたし、めでたし、なのだがぼくにとっての問題はこの関わりたくないナンパハンターの腕を掴んでしまったことだ、これは本当にまずい。
咄嗟にぼくはナンパハンターの腕を離す、いつまでも掴んでいるとハンター登録をする前に無駄に目立つハメになりそうだ。
ナンパハンターがぼくの顔を目からレーザーを出そうなほど鋭い目つきで睨んできた。
「てめぇ、どういうつもりだぁ。」
怒りとか憎悪とか殺意とかそんな感情をこめたであろう言葉は恐ろしかった。もちろん顔が怖いという事もあってだが。
なんと言えば良いのかぼくのは脳をフル回転させ考えたが何にも言い返す言葉が見つからない、いや性格にいえばあるのだがそれは全て小説で読んだ時に主人公などのキャラが言った、カッコイイ?台詞「てめぇお嬢さんに手ぇだすたぁ良い度胸だな。」とか、言ったらぶん殴られそうな言葉ばかりだ。
再びナンパハンター・・いや鬼のハンターがぼくに向けて言葉を発した。
「あぁテメェ、なんか言えよ、おい。」
神様がいるというのなら今ここで出てきてなんとかこの事を解決してほしい。だがそんな者はいないのだから自分でなんとかするしかない。
「いいんですか。こんなトコでナイフなんか出して、それに受付嬢の人がいなければクエストは受けられないんですよ、だからこの人はあなたの申し出を断ったんです、分からないんですか。」
ま、まずい。ただでさえ怒っていたであろうこのハンターの腕を掴み、そして極めつけは今ぼくがアドリブで言った言葉、咄嗟に言った事であってもさすがに言い過ぎた。
「てめぇ、ナメた口聞いてんじゃぁねぇ。」
そう言うと鬼のハンターは、ただでさえ怖い顔がエンマ大王のように更に恐ろしくなりナイフを持った手をぼくに突き出してきた。
ぼくはそのナイフに再び反応、ぼくはランポスの爪で斬り裂いてくる攻撃を避けるように右に移動、攻撃を空振って勢いあまった、鬼のハンターのナイフを持った腕を再び掴み、背負い投げの要領で鬼のハンターを吹き飛ばし、酒場の壁に鬼のハンターを勢いよくぶつけた。いやぶつかった。
辺りを見回すと、酒場中のハンター達の視線が全てぼくに送られている事に気づいた。
クソッ。いきなり目立ってるよ、しかもハンター登録もしていないのに。
ぼくは自分でも顔が赤らんでいる事がわかった。
ザッ。鬼のハンターが立ち上がり今度はナイフではなく背中にしょっている大剣、ゴーレムブレイドを手に持ちぼくに向かって走ってくる。
おいおい、反則だろ。
そう思いながらもぼくの体は自然に動き、背中にしょっている、ボウガン、ショットボウガン蒼を構え、リロードのためにレバーを引き、トリガーを引き絞った。
Monster killer[登録]
ぼくの体が自然に動きショットボウガン蒼のトリガーを引き絞る。
ドゥン。ぼくのボウガンから放たれた弾は狙い通り鬼のハンターの体、ではなく大剣、ゴーレムブレイドに着弾したようだ。
ようだ。というのは大剣が鬼のハンターが手から弾き飛ばされたからだ。
弾かれたゴーレムブレイドは弧を描いて床に刺さる。弁償しろ。と言われるかもしれない。
だが今はそれよりも鬼のハンターの方が問題だ。
「クソがぁ。」
吐き捨てると、鬼のハンターはゴーレムブレイドが刺さっている方向に走り出した。そこまでぼくを殺したいのか。というかハンターの皆さん、少しはあいつを止めろよ。
ハンター達の方を見るとハンター達がただ無愛想にこちらを眺めているのが目に入った。
チッ。ぼくは久々に舌打ちをした。いつもはあまり嫌な事が無かったため舌打ちなどはしなかったが、ここに来てからと言うもの、嫌な事ばかりだ、顔がめちゃ怖いハンターに絡まれるは、ん、これはぼくが腕を掴んだせいかな。まあとにかく色々嫌な事があった事は事実だ。
ガッ。鬼のハンターがゴーレムブレイドを引き抜く。
「ハハァッ死ね。」
鬼のハンターがゴーレムブレイドを手に再びぼくに牙を剥く。目立つぼくの身にもなってほしいものだ。
ぼくはボウガンを背負う、鬼のハンターがゴーレムブレイドを横薙ぎに振るう、しかし、ぼくはこれに反応してしゃがみ、またもや鬼のハンターの攻撃は外れ、カウンターにおいてあった調味料を粉々にした。もったいないな。とこんな状況なのにぼくはそう思った。
第二の攻撃に移ろうとしていた、鬼のハンターにぼくは渾身の力を込めてアッパーを繰り出す。
ぼくのアッパーは見事に鬼のハンターのあごに直撃、鬼のハンターは三十センチ程浮き上がるとそのまま床に倒れた。気絶・・したか。いや気絶してくれ、これ以上目立つと街で変なあだ名がつきそうだ。ぼくはそう願った。
動かないところを見ると気絶しただろう、ぼくはそう判断して、受付嬢のいるカウンターへ言ってハンター登録をしようとそこへ向かった。
ハンター達の目線は気になるが、これでようやくハンター登録ができる、ここまで長かったなぁ。もちろんこれは酒場に入ってからここに至るまでで、村でハンターをやっていたときの事は入っていない。
ぼくがそう考えていた時、背後から足音が聞こえた。まさかっ・・そう思いぼくは素早く振り返る、そこにはエンマ大王のような顔をしているあのハンターが大剣を振ろうとしているのが目に入った。まずい。だが反応するが遅かった、既に鬼のハンターの大剣はぼくの目の前まで迫ってきている。死ぬ。ぼくはそう思ったと同時にこうも思った、ハンター登録する前に怖いハンターに絡まれて一度もクエストを受けずに死ぬなんて笑いもんだな。
そう諦めた時、視界に突然何かが飛び込んできた。その何かが鬼のハンターの大剣を受け止める。ハハッ神様有難う。
何か、とはハンターだった、どうやらぼくを助けてくれたらしい。
「アッシュ、少しお遊びが過ぎたな。」
カッコよくハンターがいうとアッシュと呼ばれたこの乱暴者は言い返した。
「あぁ、ゼルク邪魔すんな。」邪魔すんな。じゃねぇよ、お前のせいでぼくはこんなに目立ったんだぞ。
「分からないのか、お前がこいつに向かって行った時、こいつはお前、じゃなくわざわざ大剣に当てたんだぞ、やろうと思えばこいつはお前なんてすぐに殺せたんだよ。それにさっき聞いたがお前がミナさんをナイフで脅そうとしたのをこいつが止めたんだろ。」おお、いいぞ言ってやれ。
「んなモン知るかぁ。だったらどーした。」だったらどーした。だとお前のせいでぼくとミナっていう受付嬢は迷惑してたんだ、ちょつとは反省しろ。
「これは知っているだろ、ハンターがモンスター以外の者に剣を振るった者はハンター登録解除、それにハンター登録する事もできなくなる。」
「そんなモノ無視すればいいだろうが。」
「俺達が証人になる。」
「クソがぁぁ。」
そう叫ぶとアッシュは一歩後ろに下がりまた大剣を振るおうとしたがゴッ。という鈍い音がしたと同時にアッシュが倒れた。ざまぁみろ。
どうやらだれかに殴られて今度こそ気絶したようだ。
「大丈夫か。」銀色の髪をした、ハンターがぼくを気遣って声をかけてきた。
「もっと速く助けてくれればよかったんですけどね。」
生意気だ。言ったあとぼくはそう思った。だが言ってしまったモノはしょうがない。
「ふっ、まあそういうな、だがすまなかったな。俺らも最初は止めようとしたがお前がアッシュを吹っ飛ばしたところからみんなおもしろくなってな。」
クソッ、吹き飛ばしたのが助けにこない原因だったならあの場面では避け続けていればよかったな。まっ、すぎた事はもういいか。
「すいません、まだハンター登録もしていないので先にしてきます。」
「そうか。」
ぼくはさっき助けた受付嬢のミナの前に行った。
ぼくがハンター登録を・・と言おうとする前にミナがぼくに話しかけてきた。
「あの・・ありがとう、助けてくれて感謝しています。」
ぼくは女性と話すのがものすごく苦手だ、なぜかすごく緊張する。
「え、えーと・・い、いいんですよ、人を助けるのは当然ですから。」
この馬鹿口、ぼくは心にも無い事を言った。
第一自分の身の安全のために最初はただナンパされる光景を傍観していただけで、助けたというのもなぜか体が勝ってに動いたからだ。でもまぁぼくが助けたのには変わりないか。
「ふふっ、それでも助かった事に変わりないわ、有難う。」
ぼくがまた顔を、多分赤らめた。
「あの・・・ハンター登録を・・」
「ハンター登録ね。」
ぼくに微笑み何か表のようなモノを出す。
そこにはハンターの名前、性別が書かれていた。
「これに名前と性別を書いてください。」
「はい。」
ぼくはペンを握り自分の名前、そして性別を書いた。別に性別など見れば分かるモノだと思うが。
「書けました。」
「はい、これでハンター登録は終わり。」
「これだけでいいんですか。」
いくらなんでもこれだけというのは少なすぎではないかそう思いぼくはミナさんに聞いた。が
「これだけよ。」
だそうだ。ハンターはいつ死ぬか分からないからあまり情報を知っても仕方ないと言う事なのか。どちらにしても手っ取り速く済んだ訳だ。まぁ良いと言う事にしておこう。
「あ、そうだプレゼントがあったんだ。」
プレゼント?こんな所でも、入会すればドリンク無料券プレゼント。といった感じのおまけがついてくるとは以外だ。まぁプレゼントはもらっといても損はないだろう。
「プレゼントってなんですか?」
「ちょつとこっちの方に来て。」
言われるままにぼくはミナさんの近くへ移動した。
「移動して意味あるんですか?」
ぼくがそういうとミナさんはカウンターに身を乗り出し、ぼくの顔の前で微笑むと、ミナさんはぼくに突然キスをしてきた。
ぼくは目をまん丸にして驚いた。ぼくの後ろからヒューと口笛を吹く音が聞こえた。
Monster Killer [パーティ]
ミナさんがぼくにキスをすると同時に後ろからヒューと口笛を吹く音が聞こえた。
ミナさんは目をつぶっていた、それが分かるのはぼくが目を開けているからだ。
ぼくもくわしい事は知らないがキスする時は目をつぶるらしい、がぼくはそんな事ができるくらい冷静じゃない。
もしキスをするような雰囲気、場所だったのならばぼくも目をつぶっただろう、しかしこれはムサイ男共に囲まれながらしかもその男達がぼくに注目している時に、突然キスされたのだ。この状況で冷静に居られる人間はおそらく相当神経図太い奴か、ヤクをやってイカレているいる奴しかいないだろう。
ミナさんがぼくのから唇を離す。助かった、これ以上キスしていたら顔がゆでダコになっていただろう。
「助けてくれたお礼よ。」ぼくが読んだ小説にもこんな台詞があった気がする。
「えぇーと、その・・あの・・・」
ぼくは言葉につまる。さっきのナンパハンターの時よりも言葉が見つからない。いや正格に言えば小説で出て来た台詞はあるのだが・・・
「ふふっ、いいのよ無理に何か言わなくても。」
「は、はい。」まったく、ぼくという男はなんて馬鹿なんだ。こんな美人を目の前に何も言えないなんて。
「じゃあ、話は変わるけど、どうする何かクエストを受けてく?えぇーと・・・」
ミナさんはぼくがさっき書いたハンターの名前と性別が書いてある表を手に取って下の方を見る、ぼくが名前を書いた位置とミナさんの目線が一致する事からぼくの名前を見ている事が分かった。
なんだかんだ言ってもぼくはハンターだ、観察力は鋭い。
「レージ・アウスくんっていうんだ。」
そうこれがぼくの名前、レージ・アウス。
「じゃあ何かクエストを受けるレージくん。・・あ、でもせっかく街に来たんだから誰かとパーティを組んでクエストを受けるといいかもしれないわね、あなたいきなり目立つ事したから組んでくれる人結構多いと思うわよ。」
そうだった。ぼくは報酬金と強いモンスターの事で頭がいっぱいでパーティを組める事を忘れていた。
でも目立った事もマイナスだけでは無かった訳だ。
ぼくが一緒にモンスターと戦ってくれるパーティを探そうと後ろを振り返ろうとした時・・・
「そのヒツヨーはねぇーぜ。」
と後ろから突然声をかけられた。
振り返るとそこにはさっきぼくを助けてくれたゼクスという男の他に、赤髪のヒョロッとした感じの男と、それとは対照的にがっしりとした、黒いパーマのかかった髪の男に、茶髪で髪を肩くらいにそろえている美人の女性、の四人が立っていた。
「レージ、だっけ、お前は俺達とパーティを組めばいいんだからな。というか組め。」
強制決定かよ。ぼくにだって物事を自由に決める権限はあるはずだ。
「強制ではない、できれば俺達と組んでくれとお願いしているだけだ。」
このゼクスという男はぼくの心の中でも読んでいるのか、というくらい彼の言った事はぼくが思った事と一致していた。
「誘ってもらっていてこんな事を聞くのは失礼ですが、なんでぼくなんですか。別にぼくじゃなくても他にも強い方々は居るんですからその人達と組んでしまえばいいんじゃないでしょうか。」
失礼かもしれないが、ぼくはとりあえずなぜぼくと組みたいのかを聞いた。ぼくと組む利点などあるモノなのか。
「ガハハハ、あのなぁレージ今この酒場ではお前と組みたい奴はわんさといるんだぜ。あいつらの方を見てみなぁ。」
そうパーマの男に言われ、ぼくはハンター達が酒を飲んだりしている方を見た。
ぼくは2、3秒の間に10人以上のハンターと目が合った。
つまり酒場のハンター三分の一くらいはぼくの方を見ている事になる。
「分かったかー、みーんなお前と組みたいんだ。」
「ガッハハ、そう言う事だぁ。」
「ここに居るハンターがぼくと組みたいのは分かりましたけどなんでぼくとなんか。」
「鈍い子ね、あれだけ派手にどんちゃん騒ぎを起こして、しかも酒場でもまぁまぁ腕っぷしの強いアッシュにアッパーを食らわすんだモノ。誰だってあなたに実力があると思うわ。」
どうやらぼくの戦いは高く評価されていたようだ。あんな騒ぎで評価されるのもなんだが腕を認められているのは確かだ。どっちかというとナンパハンターと戦ったのはマイナスよりもプラスのほうが多かったみたいだ。人助けも悪い事ばかりじゃないな。
「どうするんだ。俺達と組むのなら今しかない。」
ぼくの答えは決まっている。
「お願いします。」
「フッ、決まりだな。」
ぼくがこのハンター達とパーティを組もうと思ったのは直感だ。
よくは分からないがこの人達は他のハンター達よりもぼくのことを理解して戦ってくれそうだったから、というぼくのカンだ。今はこのカンが外れていない事を願う事しかない。
「じゃーよろしくー、俺はジンだ、まぁ気楽にやろーぜー。」
赤髪はジンと名乗った。喋り方すら聞いて性格はお気楽そうだ。
「次はおれかぁ、俺はバーン、ガハハ仲良くやろうぜぇ。」
性格も見た目にあったとはこの事だろう。
「私はジェント、ふふふっよろしく。」
美人だ。とてもこのバーンとジンには釣り合わない。
「俺は分かっているとは思うが一応言っておく、ゼクスだ。これからいろいろあると思うが頑張ろう。」
ジェントと二人で並んだら高級の貴族のように見えるような銀髪には人を寄せ付ける何かがある。
「えっとぼくですか、ぼくは分かっていると思いますが名前はレージ。まだハンターとしては未熟なので足を引っ張るかもしれませんが宜しくお願いします。」
上出来だ。五重丸をつけてあげたいくらいにうまく言えた。
「さて自己紹介も終わったところでレージのお手並み拝見だ。いきなりだがクエストを受けよう。」
ぼくはこれからこの仲間と一緒にモンスター達と戦い続ける。ああ、やってやるさ。
そう心に誓った後ぼく達は受付カウンターへ向かった。
Monster Killer [討伐]
ぼくはスコープ越しにレウスとレイアを見る。
ぼく達のパーティが受けたクエストがレウス、レイアの討伐だ。
どうやらこの二頭に村が襲われ食料を炎で焼かれたため、迷惑だから狩ってくれ。との事だそうだ。ぼくにとってはこのクエストがこういう理由で出来た、など、どうでもいいことだが。
もう既にリロードはしてありぼくのボウガンの中には貫通弾が入っている。
ぼくのショットボウガン蒼はカスタムしてある。
ぼくが絶対この弾は撃てる方が良いと思った弾だけ撃てるようにしてある。
撃てる弾は、貫通弾、散弾、拡散弾、の三種類だ。徹甲弾も入れたかったが、この三種類の弾を撃てるようにして威力もあげた上に徹甲弾を入れる事は不可能だった。
威力もカンタロスガンと同じくらいはキープしている。
もちろんこれはぼくがカスタムした。喋るのは苦手だが、こういうことは得意だ。
ぼくはこの自慢のボウガンを手にレウスに狙いを定める。
トリガーを引く。バシュッ。レウスの左目が潰れる。
レウスの目が潰れたのを確認もせずぼくはレイアの目にも狙いを定め、トリガーを引く。レウスの時と同じようにレイアの目も潰れる。
フーッ。ぼくはとりあえず一息つく。
ぼくがこんなに余裕で居られるのは仲間がいるからだ。
村では初弾を撃った後、素早く動き、狙いをまた定めトリガーを引き、攻撃を避け・・・とにかく全てを自分一人でこなさなければいけない。
だがパーティの狩りも簡単、と言うわけではない特にガンナーは仲間に弾を当てないように気をつけなければいけない上自分でなく仲間のミスも補ってやらなければいけないのだ。つまりパーティを組んだとしてもそのパーティが雑魚ならば逆に疲れてしまうのだ。
しかし、ぼくと一緒に狩りをしている仲間は強い、フォローすれば逆に邪魔になりそうなくらいに。
ゼクスが大剣で引き裂き、バーンがハンマーで骨を砕き、ジンが片手剣を持ち俊敏な動きで相手を惑わせ、ジェントがランスで相手の急所を性格に突く、まるで踊っているすのようにレウスとレイアを刻んでいく。
だがいくら仲間が強いからと言ってぼくだけサボっていればそれは卑怯だ。
ぼくはボウガンを構えリロードをして、三回連続でトリガーを引く、バッバッバッ。ぼくが放った3発はレウスの首に当たり、貫通してレイアの腹にも着弾した。
バシュュッ。レウスの首から血がふき出す。
まぁ当たり前と言うべきか。なぜならぼくはレウスの首にある人間でいう頚動脈にを貫いた上に、レウスが肺に空気を送るために通路である、管にも穴を空けたのだから、つまりレウスが空気を吸うたびに穴が空いた場所から空気が漏れ、漏れた空気がレウスの血を噴水のようにふきださせているのだ。
ぼくは街に来る前にレウス、レイアの事を偶然にも調べて置いたのだ。やっぱ予習はしておいた方がいいな。
ドオォン。太鼓を叩いた音に似た音をだして、レウスは倒れた。
その後レイアはリンチとも言えるほどの攻撃を受け、その命を絶った。
「ガハハハっ、レージお前、中々やるじゃねぇか。」
ベースキャンプに到着した時バーンが笑いながらドスランポスも逃げそうな程の声量で言った。
「はぁ、そうですか、どうも。」
ぼくはバーンとは逆にケルビも逃げそうにない声で言った。まぁバーンのように言う事ができるのは無理だと思うが。
「確かにレウスの首に撃った3発は凄かったわね。」
男共が群がってきそうな気品のある声でジェントが言った。
「ジェントと同じで俺もさー、凄いと思ったぜ、マジで。」
本気で言っているのか本気じゃないのかよく分からない顔でジンがジェントに同意した。
「で、何頭くらいレウスとレイアを狩った事があんのさー。」
ぼくの攻撃は質問される程凄いモノなのか、でもとにかく質問されたのだしっかりと返答しなければ。
「今回がレウスを狩るのは初めてですけど。」
そうだぼくがレウスとレイアを狩ったのは今回が初めてだ。
レウスとかの飛竜と戦う時は緊張するかと思ったがそうでもなかった。仲間というのはそれほどぼくを安心させているのか。
ん?ぼくはここでバーン、ジン、ジェント、ゼクスがこちらを見ているのに気がついた。
な、なんだぼくが何か言ったのか。
「え、えーと何ですか、ぼくが何か言いましたか。」
つかさずぼくに向かってジンが言葉を発する。
「言った言ったぁー、レウス、レイアを狩るのは初めてだってー。」
「いや本当の事なんですけど。」
そんなに今回レウス、レイアを狩るのが始めてという事が驚く事なのか。
「嘘、ではないようだな。」
このゼクスは本当に心の中を読む力があるというのか。そうだとしたらそれはちょっと反則なんじゃ、まぁ今回はこれのおかげで助かった訳だ、よしと言う事にしておこう。
「そうです。嘘じゃないですよ。」
「さてこんな追求をしてもしょうがない、戻ろう。」
ゼクスがそういうとぼく達は立ち上がりベースキャンプを後にした。
Monster Killer [壊滅]
ぼく達は狩りを終え、アプケロス車で街へ向かっていた。
アプケロス車というのは馬車と似たようなモノでアプケロスに荷台を引っ張らせて進む乗り物だ。
このアプケロス車に乗り街に向かっている最中、ぼくにジェントが話かけてきた。
「ねぇ、レージあなたミナにキスされたんでしょ。」
むむ、いやな話になりそうだ。そう思いながらもぼくは答える。
「はい、そ、そうです・・けど。」
「ふーん、あのミナがいきなり初対面の男にキスするなんて・・」
「ミナさんってどういう人なんですか。」
ぼくはいきなりキスしてくる人の知性を疑い質問した。
「ミナは硬派ね、分かりやすく言えば。あの子受付嬢やっているけどあのハンター達にも屈さないくらい強いし・・少なくともいきなりキスするような子じゃないわ。」
「じゃあ、なんでぼくに・・」
意味が分からない、なんでそんな硬派な人がいきなりキスしてくるのか、理解不能というやつだ。
「うーん、実際そうかは分からないけどあなたに惚れたんじゃないの、だってあなたあの乱暴なアッシュを止めようと彼の腕を掴んだんでしょ、ミナを守るために、それに聞いてたけど、なにかカッコイイ事言っていたからそれでじゃない。よく分からないけど。」
それだけで人にいきなりキスなどするモノなのか、仮に惚れたとしてもいきなりキスッていうのはどうかと思うが。まぁあんな美人に好かれるのなら悪い事じゃない。
「まぁ何かあったら大事にしてあげなさいよ。」
「は、はぁ。」
ぼくはいつも通り自信のない声で言った。
そんな事を話している内に街が見えた。
だが街はなぜかオレンジに染まっていた。
「なっなんだよーこれはぁー。」
ジンがそういったのも無理はない、それは街が炎に包まれ、人々が息絶えあちらこちらに倒れていたからだ。
いや息絶えているだけならばまだいい方だ。
大半の死体は黒く焦げていたり頭部がなくなっていたりと、とても見ていられるモノではなかった。
もちろん家など全て丸焦げだ。
ゴッ。ぼくは何かにつまずく。うっ。それはぼくのハンター登録を散々にした、荒くれ、アッシュだった。
アッシュの死体は腕がなく、体の防具は炭のように焦げていた。
いくら悪い奴だってこんな死に方をしているのを見ると悲しくなってくる。
「どうなってんだょぉぉー。」
ジンが叫ぶと同時に近くの家が崩れ何かが出て来た。
<ガゥオォォォォォ>
「なっ、なんだよ・・・あれは・・。」
ぼくは絶句した。
それの大きさはパッと見で高さは三十メートルくらい、尻尾から頭までの長さが軽く五十メートル。
色はどす黒い。
レウスと似ているが体には鋭利な爪がついた腕があり、人間でいう額の辺りに五メートルくらいの角が生え、その角の前に目がある。つまり三つ目がある事になる。
恐らくこの化け物を見て恐怖を抱かないモノはこの世には存在しないだろう。
化け物が三つの目でぼくを見る、口が開いたかと思えばその口から黒い火炎弾を吐き出した。しかもレウスの火炎弾の倍はある大きさのモノをだ。
ぼくは吐き出された火炎弾をよけるためにダッシュで十メートル程度走る。
火炎弾はさっきまでぼくがいた場所に直撃した。
「クソッ。」
吐き捨てたあと素早くリロードをしてトリガーを引き貫通弾を撃ち出す。
貫通弾は化け物の足に着弾、しかし。
ガンガゥンガゥン。撃ち出した三発は全て弾かれ兆弾する。
ふざけんな。貫通弾は弾の中でも最高クラスの攻撃力なんだぞ、なのにあいつの体になんで跳ね返されるんだよ。
ジンが片手剣を引き抜き、化け物に向かう、続いて、バーン、ジェント、ゼクスが化け物に向かう。
ジンが化け物を縦に斬る、ガゥン。だがぼくの時と同じように剣が弾かれる。ジンが第二撃をに取り掛かろうとした時、化け物が巨大な翼を広げるその様子はまるで不死鳥が罪人に罰をくだそうとしているように見える。そしてその翼を使い後ろに飛んだ。
攻撃を空振ったジンは、体勢を崩す、それを見計らっていたように化け物が黒い火炎弾を吐く。
「ジン、避けろぉぉぉ」
バーンの叫びもむなしく火炎弾はジンに直撃した。
「こんのやろぉぉぉ。」
バーンが叫び、化け物に突っ込む。
そんなバーンに化け物が火炎弾を吐く。
バーンが火炎弾を右にかわす、だが避けた瞬間に化け物の口が迫る。
バキャ、ボキィィ。気持ちの悪い音が離れているぼくの耳にも聞こえた。
死、死んだ、ジンもバーンも、二人共軽口を叩くような奴だったがいい奴だった。
なのに死んだ、なぜ?・・・あいつのせいだ、あいつが、あいつが・・・殺してやる。
「うおぉおぉおぉぉ。」
ぼくは叫んだ、叫びながらトリガーを引き絞る、あいつを殺すために。
Monster Killer [目覚め]
「うおぉおぉぉぉ。」ぼくは叫びながらトリガーを引く。
ガンガンガゥン。さっきと同じように弾が弾かれるだがぼくはそんな事には構わず、リロード、トリガーを引く、引く、引く、リロード、トリガー引く、引く、ガゥゥゥン。
弾切れ。「クソッ。」
ぼくはボウガンを投げ捨て近くにあった大剣を取る。
どんな大剣か、確認もせずぼくは化け物に向かう。
化け物が漆黒の火炎弾を吐く、避ける、、だが火炎弾が直撃した時にできた爆風でぼくは体勢を崩す、化け物の第二撃、火炎弾が目の前まで迫る。避けられない。
クソッ、クソッ、クソォォ。ぼくは死ぬのが怖いという感情よりも、バーンとジンの仇を討てなかった事が悔しかった。
ぼくの目に涙のようなモノがたまる。これは死ぬ恐怖から来たモノではない。ぼくは自分にそう言い聞かせた。
涙でぼやける視界に何かが飛び込んで来る、何かはぼくの代わりに火炎弾が直撃した。
その人は火炎弾が当たった衝撃で大きく吹き飛ぶ。
その人と一瞬であったが目が合った。
ぼくは更に涙を流した。その人がぼくとさっき狩りをした美人のハンタージェントだったから。
ジェントは地面に激突するとそのまま動かなくなった。
「ジェントォ、クソッォぉ」
ゼクスが叫び化け物に向かう、化け物は連続で火炎弾を三発吐く。
ゼクスはこれを全てかわして化け物に斬り付けた、だがゼクスの斬撃もあっさりとその強固な皮膚に弾かれる。
ゼクスはそれでも斬ることをやめない。
化け物が後ろを向く。ぼくは一瞬化け物が飛んで逃げるのかとおもったがそれはちがった。
それは振り向いた勢いで尻尾を当てて攻撃するレウスと同じ攻撃だった。
もしレウスの攻撃だったらゼクスは避けられただろう、しかし相手はレウスより遥かに大きい、つまり尻尾も大きく攻撃範囲が広いのだ。
その尻尾を避けきれないと判断したのかゼクスは防御の体制をとったが相手が相手、ガードはあっさりと崩され巨大な尻尾がゼクスに直撃した。
ゼクスの体はなぜか化け物の前にあった。しかしあきらかに足りないモノがあった。
頭だ。ゼクスの体には頭がついていなかった。それがここから見てもぼくには分かった。
死んだ、みんな死んだ、残ったのはぼくだけ。生きているのは・・ぼくだけ・・
そこでぼくには抑えようの無いくらいの憎悪と殺意が湧き上がってきた。
その二つの感情がぼくを動かす。
勝てないのは分かっている、ぼくなんかが行っても傷1つ奴に付けられずに死ぬのは分かっている。だがそれでもぼくはここで自分一人が逃げるのだけは許せなかった。
「うらぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ」
ぼくは叫び化け物に突っ込む、ぼくの頭の中には奴を殺す事しか考えていない。
化け物が火炎弾を吐く、避けるまた爆風で倒れかけるがここは持ちこたえた。
しかし代わりに大剣を落とす、ぼくはランスを拾う。
「死ねぇぇぇぇ。」
ぼくは渾身の力でランスを槍投げの要領で投げる。
ビュゥン、バシュ。ぼくの投げたランスが空気を切り、化け物の左目に直撃する。
「ざっまぁぁぁみろぉ・・」
ぼくが最後まで言い終わる前に奴の尻尾がぼくに直撃する。
ぼくの体が中を舞う。同じようにぼくの意識も吹き飛んだ。
ぼくは目をゆっくりと開けた。そこで聞き覚えの無い声が誰かを呼ぶ。
「あっ起きた。おーい、お姉ちゃーーん。」
ダッダッダッ。と誰かが階段を上る音が聞こえてきた。
「んー何、どうかした。」
「起きたよ。」
「えっほんと。」
そう言うとその人はぼくの顔をのぞきこんできた。
「だるそうだけど大丈夫みたいね。」
どうなっている、ぼくはあの化け物に殺されたハズだ。なのになんでぼくはこんなところに居るんだ。天国じゃぁなさそうだけど。
「あの・・・ここはどこですか。」
さっき自分の姉を呼んでいた、少女が答える。
「私達の家だよ。」
・・・・・いやそんな説明で分かる訳ないだろう、確かに、ここはどこですか。とは聞いたが普通だったら、○○の近くとか言うだろう。
「あんたねぇ、それで分かるわけないでしょ。私が言うからいいわよ。・・ここはガルベンスの近くにある私とこの子の家さ、これで分かったかい。」
「なんとなくは。」
ガルベンスというのはぼくが殺されたハズの街だ。
「あの、街はどうなっているんですか。」
分かっていることだっだかどうしてもあの事が現実とは思えずに聞いた。
「どうもこうもないねぇ、壊滅ってやつだね生き残っていたのは確認した限りでは君だけ、建物も全部丸焦げさ。」
「そう・・ですか。」
受け止めたくない現実、みんなが死んだという事実、ぼくはこの現実と一生付き合っていかなくてはいけないと思うと胸が張り裂けそうになる。
「悲しいのは分かる、でも自分が生きているんだ、死んだ人の分まで君が頑張っていきるんだ。・・・エナ、いくよ。」
そういうと二人は部屋から出て行った。気を使ってくれたのならそれはありがたい。
ぼくは二人が階段を降りる音を聞いたあと、声を殺して泣いた。
泣いたって何も変わらない事はガキのぼくにも分かる、でもこの悲しみを涙以外の何に変えろというのだ。
ぼくは泣き続けた。自分の涙が枯れるまで。
Monster Killer [救済]
ガルベンスの惨劇から四ヶ月。
ぼくは今リナという女性とエナというリナの妹の家に世話になっている。
別に結婚したというわけではない。
ぼくがガルベンスの街で倒れていたのをこの二人が手当てをしてくれたらしい。
手当てといってもバンソウコウを貼ったり、包帯を巻いたりしただけではない。
リナは医師になるために色々勉強していたらしく、重症のぼくを治療してくれたのだ。
もちろんそれだけで治るハズもないので近くにある街の病院にも入院した。
ぼくの怪我は凄かったらしく、アバラが三、四本折れた上に肋骨にまでヒビがはいり腕は両腕とも複雑骨折、体の所々に焼けどがあったり、裂傷があったり、肩が脱臼とその他に・・・・・。
とにかく長い治療の上にぼくの怪我は三ヶ月かけてなんとか治った。
医師の話によるとこれでも治ったのは凄く早いとの事だが、ぼくにとってみれば無駄に長い時間をすごしていたのは変わりない。
パチン。ぼくの額に痛みが走る、別に傷口が開いたわけではない、ただリナにでこピンをされただけだ。けどリナのでこピンは中々痛い。
「こら、ぼーっとしてない、ご飯冷めるよ。はい食べる。」
ぼくは額をこすりながら、スプーンでシチューを食べる。昨日もシチューだったような気がする。
「どう、おいしー。」
「いや、このシチュー昨日も食べましたよ。味もまったくいっしょだし。」
「ただ飯食わせてやっているんだから文句言わない。・・ああそうだただ飯食ってるんだからお使い頼まれてよ。」
「はぁ、別にいいですけど。」
ぼくはいつも通りやる気のない声で言った。
そういってみればお使いなんてした事なかったな、ぼくはアプケロス車の荷台で揺さ振られながらふと思った。
初めてのお使い。というやつだ。
ぼくはとりあえずやる事がないのでお使いで買ってきて欲しいものが書かれたメモを見た。
メモ・・・
・医師免許取得への近道、という本。
まったく医者になるのは大変だ、ハンターになるには名前と性別書くだけなのに。
・食料、レージが適当に買うもの考えといて。
料理した事ないから何買えばいいのかわかんないんだけど。
・適当におもしろそうな小説。
うーん、ぼくが決めていいのか。
・ハンターも騙せる女の必勝法、という本
なんだこりゃ、おいおい、風俗店にでも通うのか。というかこんな本の情報どっから仕入れてくるんだ。
追伸、おつりでなんか買うなよ。
・・・・・。なんか全て人まかせだな四つ目の本とか自分で買うの嫌だからぼくに任せたんだろ。絶対そうだ。
まぁいいか、いやよくないかな。
ぼくはメモをポケットに押し込み、空を見上げる。
今日の空はなんとなくあの時の空の空に似ていた。
あの惨劇の時にはあわないスカイブルーの空、いまでもあの光景が目に焼きついている。
おそらくこの光景は目をえぐったとしても消える事はないだろう。
仲間が次々と死んでいく光景、だがそんな光景が思い浮かびながらもぼくは復讐などする気にはなれなかった。
復讐は無意味だ。過去のために命をかけて死ぬなどぼくにはごめんだ。それにもしぼくがあの場で死んでいたら生き残った人には復讐などせず平和に生きてほしいと思う。だからぼくは復讐はしない。
そういってみればミナさんはどうなったのだろう。やっぱり死んでしまったのだろうか。
そんな事を考えている間に街が見えて来た。
リナたちの家からここまでアプケロス車で二時間くらいかかっただろう。
ぼくの目にあの時の光景が浮かぶ。
無理もないかもしれない。
なぜならぼくの目の前に広がる光景はあの時の光景に似ていた。いやまったく同じといってもいいだろう。
ぼくがお使いに来た街、レビエルクは、家々が焦げ、人々がそこらじゅうに倒れふし、その死体のほとんどが体の一部が黒く炭のようになっていた。なぜこんな事になっているのかなど聞かなくても分かる。あの化け物だ、あいつがやったにちがいない。
ぼくは生きている人を探した
ぼくはの死体に向かって叫んでいる男を見つけた。
「おい、おい、起きろよ。なんだよお前死なないんじゃなかったのかよ。おい、おい。・・・・・・うっうわぁぁぁぁぁぁ。」
ぼくはその男に声をかけることはできなかった。
声をかけ、励ますような事を言えばうまくは言えないが、多分、男は更に苦しむだろう。
そんな光景があちこちに見られる。
「そんな死なないでよ、ねぇ。」
「いやだぁ、目を開けてよ。」
「頼む、娘を助けてくれぇ。」
「ハ、ハハ、何死んだふりなんかしてんだよ。ゲリョスの真似事かよ、おい。」
「ふざけんなぁ、誰がこいつを、こんな姿にしたんだぁぁ。」
「助けて・・・誰か助けてよ。」
ぼくの頭の中がぐちゃぐちゃになる
「う、うわぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁ。」
ぼくは走った。
この地獄から抜けだすために走る、走る、走る。
走っている最中に体を焦げた木材や倒れているハンターにつまずくがそれでもぼくは走った。
「嫌だ、嫌だ、怖い、怖い、怖いぃ。」
ぼくの視界は涙でいっぱいになりぼやける。
バンッ。ぼくは木に体をぶつけて、こけて停止する。
ハァハァハァ。ぼくは辺りを見回す、そこは木が回りに二、三本生えているくらいの草原だった。
また死んだ、みんな死んだ。
街にいる人はぼくは知らなかったがそれでも人が死ぬのは悲しい。
まだ涙がとまらない。
落ち着け、落ち着け。ぼくは自分に言い聞かせる。
フーッ。息を吐き深呼吸をする。
どうやら深呼吸の効力があったらしく、ぼくはだんだんと落ち着いてきた。
またあいつのせいで死んだ。クソッ。
きっとこれから先もあの化け物は肉を求めて街へ舞い降りるだろう、きっとその度に何人もの人が死ぬだろう。
ぼくはいいのか、あの事を忘れ平和に一人のほほんと生きるのは。
いいはずがない。
だったらぼくがあいつが人を食いあさるのを止めてやる。
だが決して死んだ人達のための復讐じゃない。
今生きている人達の救済だ。
無理と言われるかもしれないそれでもぼくはやってやる。
ぼくは今日、このスカイブルーの空の日に誓った。
Monster Killer [強者]
ドォォォン。太鼓を叩く音に似た音をだしてレウスが倒れる。
フーッ。ぼくは大きく息を吐く。
これでレウスを倒したのは合計何匹目だったっけ。
そう思いながらもぼくは剥ぎ取りを開始する。
ぼくがハンター業を再開してから二年、ぼくは主に飛竜討伐クエストを受けてきた。まぁ、元から採集クエストなどやる気はなかったが。
これは強くなるためだ。
強いハンター程、飛竜討伐クエストを受け、その内容がバサルモスなどの飛竜が多い場合はそのハンターは特に強い。
ぼくがそこまで強さにこだわる理由はただひとつ、あの忌々しい黒い化け物を殺すためだ。
奴は強い。ぼくとパーティを組んでいた、酒場でも屈指の強さを誇る四人もあっさりと奴に殺されてしまった。しかもたったの、一、二分程度でだ。
そんな奴相手に運良く生き残ったぼくは、復讐のためではなく、いつか奴に襲われるかもしれない街、人々のために、強くなって奴を殺すために日々飛竜討伐クエストを受けている。
だがその間にもいくつかの街は奴によって壊滅させられている。
「終わったと。」
ぼくは剥ぎ取りが終わり、街へ帰る準備をした。
ドドゥン。ぼくが歩き始めた時ボウガンが弾を発射する音が聞こえた。
ぼくは前まではガンナーだった。だからこの音がボウガンが弾を発射した音だとすぐに分かった。
だがぼくは今ガンナーではない。ハンマー使いだ。
ガンナーとして奴と対峙した時、貫通弾を撃ったが、それが奴の皮膚に跳ね返させられたのだ本来ならそんな事は有り得ない、だがその光景をぼくはしっかりとこの目で確認したのだ。
けれど、片手剣、ランス、大剣、ハンマー、も奴には効果がなかった。
だがぼくは武器としてハンマーを選択した。
ある薬を使えばハンマーはきっと役に立つと思ったからだ。
とにかく急ごう、ぼくは音がした方向に走った。
ドゥン、ドゥン。ぼくの視界に女用ランポスシリーズの防具に身を包んだ人がレイア相手にボウガンのトリガーを引き絞っているのが見えた。
レイアは所々に傷を負っているが未だに<ギャゥォォォオオォ>と相手を威嚇できる程の体力が残っていた。
ドゥン。それでも女のハンターは攻撃を止めない。
このペースでいくと相当長い狩りになるな。ぼくはそう思いながらも背中のハンマー、アイアンインパクトを引き抜く。
厄介だがあのまま放って置いたら、いつかは火炎弾か突進かは分からないがレイアの攻撃を受けるだろう。
なぜなら女のハンターはさっきから攻撃を避けるのに精一杯であまり攻撃ができていない、その少ない攻撃も外れたりしている、つまりもう既にスタミナは切れ掛かっていると言う事だ。
スタミナが切れた時のガンナーは特に危険だ。ガンナーは本来パーティを組んだ時の背ポート役だ、そのサポート役がたった一人でレイアに立ち向かうなど無謀だし、危険だ。
ぼくは隠れていた岩から飛び出す。
レイアはぼくに気づいていない。と思う。飛竜の考えている事など分からないからだ、もしかしたらゲリョスのような騙まし討ちかもしれない。
ぼくはアイアンインパクトをレイアの右側頭部に思い切り振る。
ボゴォォンぼくのハンマーがレイアに当たる。攻撃が当たったところを見ると本当に気づいていなかったみたいだな。
よし、殺れる。そう思いながら呻くレイアの右足に移動、そして
「喰らえ。」
ぼくは今までの間に鍛えた筋肉をフルに使い、そして腰を思い切り捻りハンマーを横薙ぎに振る。
ビキィィ。恐らくレイアの右足にヒビがはいった。次で確実に折る。
ぼくは再びハンマーを振りかぶる、だがレイアもそのまま攻撃を受ける程弱くはない。
レイアは翼を広げその翼を使い、後ろへ飛ぶと飛んでいる最中にぼくに火炎弾を吐き出してきた。
ぼくの鍛え上げられた反射神経がこれに反応、ぼくは二時の方向に三歩走ってから飛ぶ、体から着地したと同時にぼくがさっきまでいた場所に火炎弾が直撃。こんな火炎弾、あの化け物のに比べたら、どうって事ない。
ぼくは立ち上がり腰につけている、ポーチからバタフライナイフを取り出し、すぐに刃を出し右手でレイアに向かって投げつける。
バシュ。ぼくの投げたナイフはレイアの左目に直撃。
怯んだレイアに追い討ちをかけるようにポーチから閃光玉を取り出し投げる。
カッ。ぼくは目をつぶる。こうしなければ自分までしばらく視力がなくなってしまう。
閃光玉の効果でフラフラとしているレイアに向かってダッシュ、そしてハンマーを再び右側頭部に・・振るっ。
ドォォォォン。
Monster Killer [勝負]
地震の効果音のような音を立てレイアが崩れた。
タダ働きしたなぁ、と思いつつぼくはレイアに殺されそうになっていた、というかぼくがそう判断した女のハンターの方へ顔を向ける。
振り向いたときには女ハンターはぼくに向かってチョコマカと歩いていた。
そしてぼくの目の前に到着、んでぼくに感謝の言葉をつらつらと述べる。
と。
ぼくの頭の中で、あの女ハンターが何をするか予想した。
女ハンターがここまで来るのに時間掛かりそうだったからでぼくは決して変な奴ではない。
マニュアル通り女ハンターはぼくの前で止まる、そして感謝の言葉を……
「馬鹿ッ、邪魔なんかしないでよっ、折角わたしが追い込んでいたのに。アホッ。」言わなかった。
それよりちょっとまて、ぼくは君の事を守ったんだぞ、ありがとう勇者様。
とまで言わなくていいが、普通はまず、助けてくれてありがとう。だろ。
なのにこの女はいきなり、馬鹿ッ、かよ。いくらなんでも失礼過ぎるだろ、汗流してレイア倒したぼくの戦いは一体なんだったんだ。
「何とか、言いなさいよ、いきなり人の獲物横取りして……カッコつけるのもいい加減にして。」
キレた。
「ぼくは君を助けたんだぞ、それなのに横取りだと、ふざけるな、もしかして自分が強いとでも思っているのか? うぬぼれるな。」
言い過ぎだとは思わない、ぼくが成長した事もあるかもしれないがいくらなんでもこの女は失礼過ぎる、それにあきらかにぼくのほうがあきらかに正しい。
「どーせ剥ぎ取りの半分をもらうとかいうのが目当てなんでしょ、何が助けたよ。」
いちいちいちいち、うるさい奴だ。
「素材はいらない、勝手に持って帰れよ。」
ぼくはそういい、女ハンターに背を向け足早にその場を去った。
これ以上ここにいたらあの女を殴りそうだったし、何よりあんな奴と討論する気もない。レイアの素材で作りたいモノが無かったというのも勿論理由の内だ。
そう考え、ぼくが立ち去ろうと更に歩くペースを上げようとしたとき。
耳に響くボウガンの発射音が聞こえた。
もちろん撃ったのは……
「どういうつもりですか。」
と言い振り向いたぼくの目に映ったのはあの女ハンターがこちらに銃口を向けている光景だった。
「ふざけないで、あなたのせいでわたしがレイアを倒せなかったの、自分の力で狩った獲物しか剥ぎ取りはしないわ。」
まったく、ここまで頑固な女は見たのは初めてだ。
「じゃあ、ぼくにどうしろって。」
「勝負よ。」
はぁ?なんでぼくがそんなくだらない事を、自分勝手もいいとこだきっとB型だな。
「嫌です。」
ぼくの顔に穴が空きそうなくらい、鋭く睨まれた。
「問答無用よ。」
そういうと女ハンターはぼくに死の鉛を撃ち出してきた。
だがぼくはトリガーが引かれる前に相手が撃ってくることを予測して、一歩右に動いていた。
弾丸が空を切り、背後にあった天然の石壁に着弾した。
ふざけんな、貫通弾かよ。
この事が分かったのは勿論ぼくがガンナーだったからである。
どういうつもりか分からないが相手は本気だ。
恐らくぼくよりは弱いであろうが、下手に力を抜いて油断をすれば待つのは死のみ。
モノブロスも楽勝に勝てるハンターがランポスにやられたのがいい例だ。
しょうがないが、ここはやるしかない。
発射音×2。貫通弾ぼくは一瞬でそのことを理解して、あの女に向かう、距離は15メートル、あの女まで恐らく2秒かかる、その間にリロードができるかできないか、そこが問題だ。
だがその問題はすぐに解消された、ぼくが女まで5メートルというところでようやく弾をリロードし始めたのだ。
悪いな、そっちが本気ならこっちも本気だ。
ぼくはハンマーを思い切り横に振った。
monster killer[情報]
「お前が悪いのッ。」
ぼくに向けて先ほどの女ハンターが怒鳴ってきた。
一秒でもはやくこの女から離れたい。
女の子の前にいるのにこんな気持ちなったのは初めてだ。
この女ハンターの名前はレク、なんとなく男っぽい感じだ。
まぁ、性格も見たまんま男勝りだが……
レクの名前を知ったのは、まぁ、あれだ、「俺に勝った奴は初めてだ。殺す前に名前を教えてくれ……。」とかいうよくある小説にでてくる潔い敵の最期の言葉だ。だがこのレクの場合は少し……いや結構ちがった。
レクが言った言葉はこうだ。
「私は負けてなんかいないわよッ。ただボウガンが壊されて戦えないだけなんだから、私の名前はレク覚えてなさい。」
と情けない言葉を吐き捨ててから尻尾をまいて逃げた。ざまぁみろ。
んでなぜ再びこの女と話てるかというとだ。
このレクが逃げたあとレクが運悪くランポスに囲まれたのだ。
んで死にそうになっているハンターをぼくが見捨てる訳もなく、結局またレクを助けたのだ。
んで更に運の悪い事にレクの乗ってきた馬車がモンスターに破壊され、帰れなくなったレクをぼくの馬車に乗せて街まで戻ってきたのだ。
にも関わらず。
にも関わらずだ。
こんな酷いめにあったのはぼくのせいだといいだすのだからたまったもんじゃない。
人助けしてこんな嫌な気分になったのは初めてだ。
「聞いてんの?、ねぇッッ。」
こんなぼくの憂鬱な気分を無視して更に基部んの悪くなる言葉をはいてくる。
悪口製造機。といってもおかしくはない。
そんなぼくにいい知らせが突然はいってきた。
バタンッ。乱暴にドアが開けられ、直後にこんな言葉がそのドアを開けた主から発せられた。
「やつが……街壊しの飛竜がきたぞっっ。」
「奴が……街壊しの飛竜が来たぞッッ。」
ぼくの脳裏にあの光景が蘇ってきた。
あのゼルク達が一瞬にして殺したあのどす黒く角が生えた見ただけで身震いする恐ろしい飛竜。
そしてこの飛竜についた名が街壊しの飛竜。という名だった。
名の由来はこの飛竜が必ず街に出現しそしてその街を破壊しハンター達を貪る事から来たものだ。
そしてこの街壊しの飛竜に傷をつけたものは一人もいない。
もちろんそんな飛竜が街に来ると聞いたらハンター達は……
「ヒャッハァァァー、俺様が奴をぶっ殺すぜぇぇぇぇ。」
「何言ってんだ、てめぇ、奴を狩るのは俺だッ。」
「どっからでもかかって来いってんだよ。」
「報酬はでんのかよっ、オイっ。」
これだよ。
一般人だったのなら「早く逃げよう。」だと思うが、こいつらはハンターなのだ。
度胸も性格も考えも全て普通の奴らとはちがう者達なのだ。
こんな奴らが戦力になるかどうかはわからないけど、まぁこんだけ度胸があれば……いや馬鹿が集まれば心強い。という事は確かだ。
だが奴を殺すのはぼくだ。
そしてぼくは救済者になるんだ。
ガコンッ。隣にいるレクがボウガンのリロードレバーを引いて弾を装填した。
そういってみればレクはあの情報が流れたとき何にも言わなかったな。
こいつなら絶対「私が奴を狩るのッッ。」とか言うと思っていたが意外だ。
今まで見たレクに比べると、とてもおしとやかな感じで女の子っぽい。
なんだかこのレクがおとなしくしてる様子がなんだか一度見た事あるような感じだ、でもなんだか思い出せない。
ぼくの視線に気づいたのかレクがこっちを向いた。
「何よ、何か顔についてるの?」
「いやなんとなく見てただけ。」
「何それ、キモッ」
はぁ、折角可愛いとか思ってたのに今の言葉で台無しだ。
「私の顔なんて見てる暇あったら武器の手入れでもしてればッ、まったく馬鹿な奴。」
こういわれるのも、もう慣れた。
だが確かにレクの言っていたことは確かだった。
武器はハンターの命。
これを粗末にしていると腕のいいハンターでも実力を発揮できずモンスターに殺される。
そうこうしている内に、奴が来るなんて事も……
[ギャゴァァァァァァァァァァァ]
あった。
フゥッ。ぼくはスウっと息を吐いた。深呼吸だ。
緊張したときは深呼吸をしろと小説にててくるギザなキャラがいっていたのだ。
実際その効果が現れたらしくなんとなく楽になってきた。
そして奴が僕たちの前にその巨大な翼を広げ舞い降りた。
絶対に狩る。
これからこいつが他の人を誰かの大切な人を殺させないために……
「撃て撃て撃てッぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。」
ガォンガォンガォンガォン。街のガンナーたちが放った何百発もの貫通弾が奴、街壊しの飛竜に着弾した。
だが一発の弾丸も奴に傷を与える事はできなかった。
兆段した内の弾の一発がさっきまで「奴を殺す。」と意気込んでいたハンターの右目に当たりその弾はそのままハンターの脳を破壊し、付けている兜にあたり、ようやく止まった。
そのハンターが倒れたと同時に奴が火炎弾を吐き出し、ガンナーを5人をいっぺんに炭にした。
はぁはぁ。クソッ、街のハンター達が束になっても敵わないなんて……
ぼくを含むハンター達は奴に何度も何度も攻撃したが全く傷を付けられず悪戦苦闘していた。
レクもさっきからはぁはぁ、と息を切らしている。
もちろん疲れているのはぼくとレクだけではない。
他のハンター達も同じように息を切らしている。
もう限界だ。あと5分もすればきっとここにいるハンター達は全員死ぬだろう。
だがぼくがあれを使えばなんとかなるかもしれないだがあれを使えばぼくは……
ボゥン。!!!!
しまった、そう思った時はすでに遅かった。ぼくの腕に激痛が走り、その痛みでぼくは倒れこんでしまった。
火炎弾が直撃したのだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁがっぁぁぐあぁぁぁ、チックショぉぉぉぉ。」
痛い痛い痛い痛いぃぃぃ。何にも考える事ができない、痛みのせいで立ち上がろうにも立ち上がれない。
痛みに呻く中でぼくはこう思った。
死ぬ
と。
ガッ。だれかがぼくを持ち上げてくれた、最初はてっきり天使が向かえに来たのかと思ったがそうじゃ無かった。
レクがぼくをお姫様だっこので持ち運んでいてくれたのだ。
恥ずかしい。傷が痛む事も、奴が咆哮してることも忘れてぼくはそう思った。
もう誰もいない民家の中にぼくを寝かせながらレクが言った。
「大丈夫なのッ。ねぇってば。」
「んな訳ないだろッッッ、全然だいじょ……あがぁ。」
喋ったせいか傷が痛みだし、思わず叫んでしまった。」
「ごめん……」
意外だ。こいつのことなら折角運んでやったのに。とか言う事をぼくは予想していた。
それなのにごめん…かよ。
嬉しいけどつくづくぼくの予想とは逆のことを言う女だ。
「なぁ、腕どーなってる?」
ぼくはふと気になり聞いた。
「・・・・・・・・・いってもいいの?」
「あぁ。」
間を置いていっているとなると相当ヤバイ事が伺える。
「無いよ、腕・・・・・」
は?
ふざけんなッ。ぼくは心の中で叫んだ。
なぜかって。それはレクがぼくの腕が無いとか言ってるからだ。
無い筈がない。ぼくの腕はまだ感覚がある。
それなのにこの女は
「ざけんなよッ、お前・・・・・・ぼくの腕がないだと嘘をつくなッッ」
下を向いたままレクが言った。
「ホントだよ・・・・・・君の腕は確かにあいつの火炎弾で吹き飛んだよ。なんなら見る?」
「ああ、見てやるよ。」
そういいぼくは腕がある筈の場所を見た。
・・・・・・クソッ。無いぼくの腕が奴を殺すための利き腕の左手が・・・・・・
「どーするの?これじゃもう・・・・・・。」
「うるさい。」
「ぼくは守るんだ。誰かの大切な人を・・・・・・」
「誰か?」
「そうだ、ぼくの仲間は奴に殺された・・・・・・ぼくはその時さびしかった、だからもう誰にもぼくと同じようなさびしい思いをしてほしくないんだ。だからぼくは決めた奴を殺してみんなを救うと、だからぼくはなんとしてでも奴を殺す。たとえ自分が死んだとしても。」
なぜだろう。ぼくはなぜこんな奴にこの話をしたんだろう。わからない、でもきっとぼくは知ってほしかったにちがいない、ぼくが何をしたいのかを。
「そうだったんだ・・・・・・教えてくれてありがとう、あまり話したくないけど私のお姉ちゃんも殺されたの。だから私はあいつを殺すためにハンターになった、つまり復讐をするため、でも君はちがうんだ。」
「言うと悪いけど、過去のために命を張るなんて馬鹿のやることだよ。」
ぼくはそういって立ち上がった。
グラリッ。ドサッ。クソ。血が減りすぎたせいで立ちくらみが酷い。
「私が手伝うよ。その誰かの大切な人を守る。戦い。」
そういい、レクはぼくの肩を担いだ。
「行こう。」
僕たちはいまだハンターの絶叫と奴が咆哮している場所へ向かった。
なぜかぼくは今までに無い感覚を覚えたような気がした。
いや前から持っていた感覚を久々に体感したのかも知れなかった。
ガゥン。またぼくが振るったハンマーが弾かれた。
血は止血したおかげでなんとか流血をふせいでいるがこのままではあと10分ももたないだろう。
隣で一緒に戦っているレクも相当息が荒れている。
同じように他のハンター達も命からがらと言った感じに武器をふるっている。
「大丈夫?」
ふいにレクがぼくに声をかけてきた。
「なんとか。」
それだけ答えるとぼくは再び奴のほうへ走った。
くらぇッ。ぼくは心の中でそう叫び。
ハンマーを振った。が
先ほどと同じように、また弾かれた。
ぼくは何回も攻撃をしてやっと分かった。
奴は何人のハンターが何度攻撃しても、効果はない。という事だ
だったら手はひとつ。
ぼくが禁断の魔人薬、そしてダイナマイト小タル爆弾を使うしかない。
この二つを使えば間違いなくぼくは死ぬ。
だがそれでもいい。
ぼくはこの飛竜を殺すためにここまできたのだから。
ぼくは薬の瓶の蓋をあけた。
それを一気に飲み干す。
全身が熱くなり皮膚が赤みをおびてゆく、そして筋肉が膨張し始めた。
「ぐぅぅ。」
ぼくはものすごい痛みに襲われた。
恐らくこの薬の副作用だ。ぼくは確信した。
ハァハァハァッ。痛みをこらえながらぼくは奴のほうを向いた。
まだ奴には1つの傷も無く、その状態で暴れまわっていた。
「いくぞッ」
ぼくは右手でハンマーを持ちそして腰に爆弾を付けて走った。
ビュンッ。速かった、自分でも驚くくらいのスピードがでた。
これがこの薬の力か。そう思った時再び激痛が襲ってきた。
クソッ。のんびりなんかしていられない。
そう思いぼくはハンマーを握りなおしそのまま奴に叩き付けた。
ボキリィィィ。しまった。
予想外の出来事が起こった。
それはぼくのハンマーが折れたのだ。
ぼくはさっと身をひいた。
やっぱあの手しかないか・・・・・・
・・・・・・行くしかないんだ。
ぼくが走ろうとした時・・・・・・
「待って。」
レクが唐突に話かけてきた。
「何?」
「何するの?」
「奴を殺すんだよ。そしてみんなを守る」
「それは分かってる、そうじゃなくて今から何をしようとしているのか?」
「奴の口の中に入ってそこでこいつを爆発させる。」
そういいぼくは小タル爆弾をレクに見せた。
「それじゃ、あんたはどうなるの?」
「死ぬ。」
「どーして、そんな簡単に言えるの。死んだら何にもできないよ。」
「それでもぼくは、やるんだ。」
レクはぼくの方を見ながらとても悲しい目をした。
「私はあんたに死んでほしくない。だからやめて。」
「ありがとう。」
ぼくはそれだけ言い残して、奴のほうへ向かった。
嬉しかった。今までレクには酷いことをいわれ苛立っていたけど最後にはああいってくれて、それがぼくには嬉しかった。
今までのレクの暴言が全て許せた。
「いくぞぉぉぉぉッ。」
ぼくは渾身の力で大きくとんだ。
薬の効果もあってぼくは一気に奴の口の中に入った。
爆弾の導線に火をつける。
導線についた火が爆弾に辿りつく寸前にぼくの頭に今までのことが走馬灯のように流れた。
小説に書いてあったのと同じだった。
人は死ぬ寸前に今までのことを思い出すって
今のぼくの状態はまさにそれだった。
まぁそんなことはどうでもいいか……
でもこれだけはどうでもよくない
導線の火が爆弾に到達し、まばゆい光を発しながら爆発した。
ぼくは……救済者だッ
終
エピローグ
彼が街壊しの飛竜を倒したおかげでそれから街が壊される事は無くなった。
彼は確かに不安におびえる人々を救った。
しかし彼の事を救済者と呼ぶ人は少なかった。
人々は彼の事をこう呼んだ。
ほとんど一人で奴を倒した、ハンター……MONSTER KILLER と。