泣かせたくない俺がいる
k様作
-泣かせたくない俺がいる-
いま俺は暑い日の照りつける森と丘の
岩の影に座っている
鬼斬破を脇に置き煙草を吹かす
暑い日だけにちょっとした影でも涼しく感じ
岩を手で触るとひんやりしていて気持ちが良い
静かに風が吹き抜けていくと
俺の深紅の髪がなびき
髪で隠れていた首筋が露わになりとても涼しい
「おいヴァーン 平和な日常みたいに語っているところ悪いが
此奴を見てくれ かなりデンジャーだぜ!」
いま話しかけている青髪はコールド
俺とは違って短めの髪を立てている
俺はコールドの指先へと視線を移す
ゆっくりと指の付け根から第二関節
第一関節をすぎて指先へと
そして指先からその指が指す方向へ
そこには岩陰に隠れている俺等を睨む飛竜の眼があった
そう俺等は実はG級リオレウス討伐にきていたのだが
全く準備していなかったうえにエリア3で昼寝をしていたので
痛手を喰らい岩陰に隠れて休日ライフを満喫していたわけだ
俺はもう一度 此方を睨むリオレウスをまじまじと眺める
そしてコールドに微笑みかけて頷き
「かなりデンジャーだな!」
「デンジャーだよな!」
俺とコールドは岩から同時に離れる その一瞬後には
リオレウスの牙によって岩は砕かれていた
「いやぁ〜まいったね コールドに知らせられなかったら
俺が岩みたいに粉々になるとこだったさぁ〜」
「フフッ俺の飛竜察知能力を甘くみるな!
自動マーキング付きだからなぁ!!!」
「まっ今日みたいに昼寝してちゃ意味ないけどな!」
「ごもっともぉ!」
俺とコールドの事を見ていたリオレウスは震えていた
「フッ俺達のスーパートークに恐れをなしたか
ヴァーン今回は俺等の圧勝のようだな」
「いや・・まてコールド
これは俺が考えるに怒りによる震えではなかろうか?」
俺が言い終わった途端リオレウスは今にも火球を吹き出さんとしていた
コールドは手を打つと頷きながら叫ぶ
「まじかよ!ははっ!その通りみたいだなぁ!!」
リオレウスが火球を吹き出す一瞬前に
コールドはライトボウガンを引き抜き弾を放っていた
拡散弾はリオレウスの口の中に着弾し
大爆発を起こし火球を砕きリオレウスに多大なダメージを与える
いや・・G級に準備を無しで来ちゃったけ
なんつーかコールドいれば余裕だね!
なんてったって金銀夫婦ソロ討伐お手の物の超大物ハンターですからね!
なんてったって金銀夫婦殺しまくって繚乱の対弩つかってますからね!
なんてったって若くてイケメンでモテモテですからね!
正直憎ったらしいね!正直羨ましいし恨めしいね!
ってこっちにリオレウスが向かってきてるぅぅ!?
しかも何!?俺の心の叫びは聞かれていたのか?
コールドまで銃を俺に向けてますよ!
コールドはレベル1の拡散弾を放ち俺を吹き飛ばす
いやリオレウスの突進は避けれたけれども
けれどももうちょっと・・こう何か助け方ってのが・・・ねぇ?
ねっ?そう思うでしょう読者の皆さん
え・・?助かったから良いじゃんって?
ダメージ喰らわないから良いじゃんって?
読者の皆さんは俺の味方だと思ってたのに・・・!
俺は思わず耳を塞ぐ
味方だと思っていた読者の皆さんの声を聴かないように
そして何よりリオレウスの馬鹿でかい叫びを聞かないように
俺が耳を抑えていた手を放して前をみると
目前まで火球が迫っていた
「リオレウスが突進してきて!
コールドに撃たれ!
読者の皆さんには裏切られ!
火球が目前に迫って!
いい加減泣くぞコラァ・・!?号泣だぞオイ!!?いいのか?
こんな可哀想な俺が泣くのを黙って見ているのか御前等はァァァ!?」
「おーおー!また訳わからんこと言い出したよ!!!はははっ!」
俺はコールドの笑い声など気にせず叫び続けながら
鬼斬破を勢い良く振るい火球を真っ二つにする
「おーおー!またキレたキレやがったよ!はははっ!」
「うるせー!なんで御前はモテんのに俺はモテないんだよ!?
てか御前婚約者いるのにモテてるとか贅沢なんだよ!」
「いや・・モテる理由はやっぱりルックス?
てか御前も彼女いるべ」
コールドは余裕の笑みで応えてくる うわぁー憎たらしい!
「ルックスなら俺も負けてないだろう?
深紅の髪に美人の部類に入る顔立ちとかさ!!」
「じゃあ性格」
「いや性格はショックだからやっぱりルックスにしとこう!」
「その性格のせいだと思うぞ」
「あぁわかったよ
御前みたいに俺の前だと馬鹿みたいなキャラなのに
女の前ではクールでイカした
最強のイケメン男になりゃあ良いのかよ!?」
「そうだ!俺を見習え!!」
「御前みたいにだけは絶対なりたくないね!」
俺とコールドの口喧嘩を暫く見ていたリオレウスは
呆れたように空に飛び上がった
「コールド!」
「わかってるよ!」
リオレウスの翼をコールドの放った貫通弾が貫く
落下してきたリオレウスの頭に
俺は鬼斬破を叩き付け息の根を止める
「コールド俺はな!」
「おい待てよヴァーン 俺の見解によると飛竜が」
「御前の自動マーキングによると飛竜が?」
「そこ 訂正しないでいいから!
まぁ兎に角俺の自動マーキング・・あ、ミスッた
俺の見解によると一匹の飛竜が近づいてきてるっていうか
寧ろすぐそこまで来てる」
「オイそれ俺の見解から言うと結構デンジャーだぞ?」
「俺の見解から言ってもデンジャーだな!」
「じゃぁコールドくん
ここは仲良く飛竜を殺すのに専念しようじゃないかね」
「ヴァーンくんがその気なら勿論手を貸すよ」
「じゃっいっちょ」
「ぶっ殺!ってえぇぇぇぇええ!!?!?」
「っせーよコールド騒ぐな!!ってえぇぇぇぇええ!!?!?」
空から舞い降りたは巨大なリオレイア
いやでかすぎだから なにコレ
普通のレイアの倍はあるからね!
「これは逃げるべきだろう?」
「そうだろうな」
「「じゃ逃げるか」」
俺とコールドはしゃがんで忍び足で
他のエリアへゆっくりと逃げようとするが・・・
リオレイアは咆哮をあげ此方を睨み付けてきた
「「えぇぇぇぇええ!!?!?
何でこのタイミングで気付いちゃうかな!?」」
俺とコールドは一気に走り出す 後ろからリオレイアが迫ってきている
「ヴァーン!俺はソフィーと結婚する予定だったんだぞ!?
新婚になって回りにチヤホヤされるまで死にたくないんだ!!!」
「俺だってスフィアと結婚するまで死にたくないわボケェ!!!」
「なんか逃げ切る方法ないのか!?」
「あぁコールドにはとっておきの方法を教えてやるぜ!
死ぬ気で走れえええぇぇぇぇぇええええぇ!!!!」
「おう!!!」
-数時間後-
「「しつけぇぇえぇえ!!!」」
-更に数時間後-
「俺もう無理!」
「諦めるな!御前が死ぬのは良いが」
「いいのかよッッ!」
「あぁ御前はいい!
だが婚約者の御前が死んだせいで
幼馴染みのソフィーが泣く姿は可哀想で見てられない!」
「俺も御前の死を幼馴染みのスフィアが泣いてるのは見たくない!
お互い死なないように気を付けようぜ!!」
「あぁもちろんだ」
-更に数時間後-
「しつけーな此奴」
「あぁしつけー」
「いい加減にさ?」
「むかついてきたなぁ」
「殺したくさ?」
「なってきたなぁ」
俺とコールドは後ろを振り向き武器を取り出す
そして怒りの咆哮
「「しつけー!ぶっ殺すぞゴルァァ!?」」
リオレイアは俺とコールドの叫びに恐れをなして逃げていった
「おいヴァーン」
「何だ?」
「始めからこうすれば良かったんじゃないか?」
「いやコレは俺等の怒りのバロメーターがMAXだったからこそ
奴はその勢いに押されて逃げていったんだろう」
「なるほどな なかなか的を射た意見だ」
この後俺とコールドは普段のクエストより遙かに遅くに帰ったために
俺の事を心配していたスフィアは
俺が帰ってきたのをみて安心して泣き崩れ
コールドの事を心配していたソフィーは
コールドが帰ってきたのをみて安心して泣き崩れた
俺とコールドは顔を見合わせる
婚約者のソフィーも
幼馴染みのスフィアも泣かせたくないコールドに
婚約者のスフィアも
幼馴染みのソフィーも泣かせたくない俺がいる
けど…
「「結局泣かせちまったな」」