絶望と快楽と死と……
ギア様作
プロローグ
手に持つは異形の大剣。
目の前には血のような色。巨大な体、翼。の竜。
こんな物騒なモノを持って、それより更に物騒感がある竜の前に居ても、俺は怯えるどころか、喜んでいる。
まぁそれが普通の人間の反応では無い事は自分でも分かってるつもりだ。
そんな事分かってても、ここでは何の役にもたたないって事も分かってる。
だから俺はただこのクソ竜を殺しまくる事にした。
それを駄目だ。と言ってくる奴もいるが、そんな事はどーでもいい。
俺は竜の懐に飛び込んだ。
誰にも邪魔させねぇ。
これは俺の、大切な……
暇潰しだ!!
大剣が竜を捕らえた。
第一章 転送
「暇だ……」
道と言えるか言えないかの、微妙な道を歩きながら呟いた。
この言葉が最近口癖になってきた。
何が暇なのか?
それはこの世界の事だ。
俺にとって世界が平和なのは良い事では無い。
平和な世界こそ、おもしろくないモノは無い。
だからどうなってほしいかって言うと、まぁあれだ。
戦争。
一言で表すならそういう事になる。
どっかの国の禿げ大統領が言った言葉は今でも覚えている。
戦争は何も生まない。生むとしたらそれは絶望だけだ。
今の俺には希望も無ければ、絶望も無い。
希望を手に入れるのは難しい。
だったらいっその事核爆弾とか、ミサイルでもアフガニスタンにでもぶち込んで戦争になって、絶望を手に入れた方がマシッてモンだ。
でもまぁ、そんな都合良く世界が俺の思う通りになれば苦労はしないけどな……
俺の名前は、朝生 雷(あそう らい)
職業は高校生(2年)
そして不登校予備軍。
最近の趣味は、物思いにふける事、探検散歩、だ。
探検散歩ッて言うのは……まぁそのままだ。
今日も俺はその探検散歩をしていた。
勿論。物思いにふける事を忘れてはいない。
今日の探検は、珍しく行く場所が決まっていた。
最近流行?のちょっと破けたジーパンのポケットからプリントアウトした地図とちょっとイカした迷彩色のコンパスを取り出す。
「目的地まであと、100mってトコかな?まぁそうじゃねぇと迷った事になるけど……」
ちなみにここは山だ。
100mッて言っても中々長い。
既に息も上がってきている。
キツいな……
いつもなら、こんな所へは絶対にこない。
行ったとしても疲れるだけだし、登った時の得も、良い景色が見れた。ぐらいで山なんて登っても良い事は無かったからだ。
だか。
今回に限っては俺は山を登っている。
しかもこのクソ寒い中をだ。
それだけの理由が俺にはあった。
ネットで見た内容に強く惹かれたからだ。
内容はこうだ。
[……にある岩にはある刻印が彫ってある。俺も最初に見た時はこう思った。ここに偶然来た奴らが何かで彫ったのだろうと。しかしその考えはちがっていた。落彫り(落書き)などでは無かった。俺は何も考えずに岩に触った。すると、どうなったか??今から書く事はきっと誰にも信じてもらえないだろう。だが、それでも俺は伝えておく。その岩に触れた瞬間、目の前が真っ白になって突然視界が切り替わった。辺りを見渡すとそこは先ほどいた場所とは全くちがう場所だった。これ以上はここまで読んでくれた方に失礼だが止めさせてもらう。ただ最後に一つだけ忠告しておく。絶対にそこにはいかない方がいい……命が惜しければ…・・・]
俺はこの文に惹かれた。
何故惹かれたかは自分でも分からなかった。
だが今まで何もヤル気が起きなかった俺が興味を持った事は確かだ。
ただのくだらない、チンプンカンプンのどこにでもあるオカルト話と、書いている事は変わらなかった。
このサイトに書いてある岩の場所が徒歩でもナントカ行ける場所だった、という理由も恐らくあっただろう。
でも俺はこの理由以外に自分が、ここに行きたいと思った理由がある事を確信していた。
「ここか……」
地図に記された場所には確かに、人と同じくらいの大きさの岩があった。
そして刻印も……
生唾を飲み込んでから、息を整えた。
そしておそるおそる、ゆっくりとすり足で岩に近づいた。
近くでもう一度岩を見ると、岩には文字のような、絵のような紋様が、岩にしっかりと彫られている事がしっかりと確認できた。
俺は自分でも、心の中で何年か振りに、期待と希望が、近くの公園の無駄に税金を使って作った巨大な噴水の水のように、湧き上がってきているのが分かった。
深呼吸をする。
こうしないと、肺が酸欠でぶっ倒れそうだったからだ。
それ程までに緊張していた。
それが面白いくらいに自分でも分かっていた。
「行くぜ……」
コートを着込んだ浅黒い腕を伸ばし、岩に触れる。
「……」
クソッ。
やっぱ所詮サイトのくだらないオカルト話だったって事だ。
さっきまで溢れ返っていた、希望と期待は一瞬で枯渇し、今はオアシスの無い砂漠とかしていた。
「クソッタレェェ」
目の前の巨大な岩を、あんなサイトを信じた自分を、そしてサイトを作った管理人にだと思い、渾身の力で岩を蹴る。
この一撃で岩が壊れても、俺のイライラはあと数週間は治まらないだろう。
「クソ野ろ……」クソ野郎ぉぉぉぉぉぉぉッ。
そう叫ぼうと思ったが、脚が岩に当たった瞬間、彫られている紋様が、ポワァっと光だし、俺の嘆きと憤怒の混じった言葉が口から吐き出される事はなかった。
俺の視界が白で埋めつくされた。