ブラッディー・タワー
ライテスト様作
プロローグ
第1章【ブラッディー・タワー】
第2章【古の英雄】
第3章【運命のブラッディー・タワーへ。】
第四章【ギドーを守った者】
ここは、大陸から遥か南の海に浮かぶ、ロングストリートと呼ばれる島国。
×××年×月×日、その夜、西の空から不気味に燃えるような、火の玉が、
晴れ渡るロングストリートの上空へ現れた。
その火の玉は、赤と青に色を変えながら、ゆっくりと上空を横切って行く。
そして、その火の玉がロングストリート城の真上の位置にきた時だった
ロングストリート城には、3人のカワイイ赤ちゃんが、誕生した。
そして、城内は、喜びに満ち溢れたのだった・・・。
3人の赤ちゃんの左肩には、炎のような紋章がついていた。
長男には、王家の後継ぎを思わせる「燃えるような、紅い紋章」があり、
他の二人には、同じ型の「青い紋章」がついていたのであった。
しかし、その喜びも束の間、ここロングストリートには、悲しいしきたりがあった。
それは、もし、王家に三つ子が生まれた場合、災いをもたらすとされ、
忌み嫌われていたのだった。
そして、一番最初に生まれた子供だけが、王家の後継ぎとされ、残った子供達は、
里子に出さなければならないという、悲しい運命だった・・・。
長男は、「オスカー」と名づけられ王家の後継ぎとして城に残され、
次男は、遥か遠い辺境の村へと、三男は近海の島にある小さな村へと
預けられたのであった。
その時、島の長老から二人にそれぞれ手紙が、託された。
そして、この出来事こそが、これから始まる想像を絶する物語への始まりだった。
17年の時が、流れ、いつしかロングストリートには、魔物が巣くうようになり、
人々を襲うようになっていた。
一方、城では日ごとに兵士が減り、おかしな噂が広がり始めていた・・・。
【第一章[ギドーから来た青年]
】
ロングストリート、「エル・ブルーホの街」
ロングストリートで、もっとも大きなこの街には、富と名声を手に入れるべく、
多くのハンターや商人達が、集う場所でもある。
その「エル・ブルーホの街」で、もっとも大きな酒場「クワトロ」では、
昼間でも、たくさんのハンター達で賑わっている。
3年程前から、突然現れ出したモンスターに人々が襲われ、命を落とすという事件が、
頻繁に起こりだし、そのモンスター達を全滅するべく、凄腕のハンター達が、
召集されていたのだった。
そして、そのハンター達の間で、半年くらい前から噂されるようになった
出来事がある。
それは、モンスターの異常発生、及び、凶暴化と見たこともないモンスター
出現のことだった。
今日も酒場では、その話でもちきりだった。
「おいっ!なんでもこの間、ランポスを狩りに行ったハンター二人が、
ギタギタの死体で、見つかったそうだぜ!」
「ああ!俺も聞いたよ!そのハンター達は、ランポスごときにやられるような
奴らじゃなかったそうじゃねえか?!!」
「それに関係ねえけどよう、最近城の兵士達も全然見なくなったことねえか?!」
酒場中で、そんな噂がささやかれていた。
そんな、酒場の片隅で小さなテーブルに座り、ビールを飲みながら一人考え事を
する、青年の姿があった。
歳のころなら、17〜8といった、まだ少しあどけなさが残る緑色の髪の青年で、
服装などからは、ハンター風には見えないが、テーブルの横には、青年のモノであろう、
鋭い長剣が、おかれている。
そして、その両腕には、見たこともない腕輪がはめられていた。
そこへ、酒場のドアが開き、街でも評判の悪いゴロツキハンターの三人組が、
入ってきた。それぞれが、かなりの大男で、いつも新米ハンターを見つけては、
訳もなく、殴る蹴るなど、その行動は、目にあまるものだった。
そして、今日もいつものように三人は、標的を捜しているようだった。
「おうっ!にいちゃん!ここは、ガキの来る所じゃあ ねえんだぜっ!!」
ゴロツキハンターの大男三人が、青年を見つけると、因縁をつけてきた。
「あのにいちゃん、まずいのに目をつけられたなあ・・・。」
酒場のあちこちで、そんなささやきが聞こえた。
「ひゃあ〜っ!こいつ、こんな剣で何を狩ろうってんだ!ひゃひゃひゃっ!」
その内の一人が、剣を足で蹴ると、青年をバカにするように言った。
更に、もう一人の男が続ける。
「おいっ!クソガキッ!てめえ名前は、何て言う?!どこから来た?!!
・・・ん?どこかで、見たような顔だな〜。」
青年は、黙ったまま最後の一口を飲み干した。 その時!
いきなり一人の男が、青年の髪の毛を鷲掴みにした!!
と同時に青年のコブシが、大男のミゾオチにめりこんだ!!!
「こらあ〜っ!てめえに聞い・・・ぐっ!・・・ううぅ・・・。」
そこまで言うと、大男はヨダレを垂らしながら、その場にうずくまり、そして、
「ドッターーーンッ!!」
と大きな音をたてて、床に大の字になった!その目は、真っ白になっている!!
まさに、一瞬の出来事だった!!
大男ふたりは、何が起こったかわからない!といった表情で倒れた男を見つめている。
そして、青年は倒れている男に「あれ〜!手加減したんだぜえ!」と言うと、
椅子から、立ち上がった!
「俺は、ギドーの村から来たガルサだ!!お望みなら、相手になるぜっ!!」
その声に酒場中が、ガルサに注目した!!
そして、大男ふたりにコブシを突き出したガルサの左肩には、燃えるような
青い炎の紋章が、鮮やかに浮きでていた・・・。
ギドーの村:それはロングストリートの辺境の地にあり、大昔からモノブロス
リオレイアといった飛竜の生息地でもある砂漠地帯。
そのど真ん中に位置するギドーの村。
その昔、ロングストリートを悪魔の災いから救った英雄のひとり
が、生まれ育った村でもある。
「コ、コノヤロォーーッツ!!」
もうひとりの男が、猛然とガルサに飛びかかってきた!!
次の瞬間!!!
(グッシャーーー!!)
「あがっ!!」
(ドド〜〜〜〜ンッ!!)
目にも止まらぬ、ガルサの顔面へのひと蹴りで、アゴを割られ崩れ落ちる大男!!
「オオォォ〜〜〜〜〜ッ!!」
酒場中にドヨメキがおこる!
「セヤァーーーッ!!」
すかさずその蹴りを回し蹴りに繋ぐと、もうひとりの男の顔面へと叩き込むガルサ!!
スピードと威力満点の蹴りを喰らい、テーブルの上へと吹っ飛ぶ3人目の男!
「ぐえぇーっ!!」
(ダダーーンッ! ガッシャーーンッ!!)
テーブルの上に飛ばされた男は、体中にビールを浴びて失神してしまった!
勝負は、あっという間についた。すかさず酒場中に歓声があがる!
「ウオォ〜〜ッ!すげえぜ、にいちゃんっ!!」
「あのゴロツキ3人組をひとりで、のばしやがったぜぇ〜〜っ!!!」
そんな、歓声などはお構いなく、
「話にならねえな」
と、ひとこと呟き長剣をかつぐと、ガルサはカウンターへと歩いていく。
ざわめく中、ガルサはマスターの前まで行くと、
「ちょっと、聞きたいことがあるんだが?」
マスターが、グラスを拭く手を止め、少しビビリながら答える。
「は、はい!な、なんでしょうか?!」
「この街、エル・ブルーホの長老を探している。知ってたら教えてくれないか?」
そう言うとガルサは、眠っている三人組みの方を少し心配そうにチラッと見ると、
「あいつら、まだのびてんのか?!」と、ボソッと呟いた。
「ああ、長老カルドナ様の家なら、海岸沿いの岬を過ぎて、船着場を越えた先の
高台にありますよ!なんなら、この地図をどうぞ。」
マスターはそう言うと、地図をガルサに渡した。
「ありがとう。じゃあ早速行ってみるよ!それから、そこでのびている三人組の
手当てをしてやってくれ。 これでたのむぜ!」
そう言うとガルサは、腕輪から宝石のような赤い玉を外して、カウンターに置くと、
ハンター達の注目の中さっさと、酒場を出て行った。
それと同時に酒場の中から、大きな声があがった!!
「こ、これは、モノブロス・ハートッ!!」
【第2章 古の英雄】
岬までの数キロ、ガルサは人に出会うことは、なかった。
出会うといえば、ところどころに散らばるハンター達の死体の一部ばかりで、
出没するモンスターの凶暴さをうかがわせるものだった。
海岸を見ると、波が寄せては引き、その波紋がまるで白い竜がうねっているように
見える。
「海かあ!久しぶりに見るな・・・。ちょっと岬の先まで行ってみるか!」
ガルサは岬の根元で足を止め呟いた。
そして、小さな岬の先へと歩き出した。
先端までくるとガルサは、大きな岩に腰掛け、空と大海原を眺めながら、
「はあ〜〜〜!!」と両手をあげ、大きくのびをした。
その時、大海原に1隻の小さな船が、こちらに向かってくるのが見えた。
どうやら、連絡船のようだ。その船は、岬の少し先にある海岸から長く伸びた、
船着場の桟橋へと向かっている。
そして、桟橋に着いた船は、ひとりの男をおろすと慌てるように桟橋から離れ、
また、大海原へと走り出していった。
少し遠くてよくわからないが、どうやらガルサと同じ年格好のハンター風の
青年だった。
「へえ〜〜、ひとりでこんな島へねえ・・・ん??」
両手を後ろに伸ばして岩にもたれ、そう呟くガルサに「あるもの」が見えた。
それは、船からおりてきた青年に向かって丘の上から、滑空してくる
一羽の赤い怪鳥の姿だった!!
「うっ!あれは、ネオクック!!あいつ狙われているっ!!」
ネオクック:最近になって現れだしたモンスターで、姿はクックとそっくりだが、
その体は血のように赤く、クックに比べるとひと回り小さいが、
いたって凶暴で、その鋭い爪には猛毒があると言われる。
ネオクックは、あっという間に青年の目前まで迫った!
ガルサは立ちあがると、気の毒そうに呟いた。
「あぁ〜、ダメだ!どうしようもねえ!!」
そして、青年とネオクックがほぼ重なり合った瞬間!!
一瞬何かが発火するのが見えた!
「ギャギャーーッ!」(ドッサーーーっ!!)
叫び声とともに桟橋に激突するネオクック!!
そして更に何度かの発火が起こった!
次の瞬間青年は、ネオクックにクルリと背を向けると、桟橋の上でバタバタしている
ネオクックを無視して桟橋からおり、何事もなかったように高台の方へと歩いていく。
あの少しのあいだに、青年はネオクックに一体何をしたというのか?
なぜ、ネオクックは桟橋の同じ場所でバタついているのか?
「ん〜〜??一体どういうことだあ?!ネオクックは、まだ生きてるぜ?!!
それにしてもあいつ、あの滑空攻撃をよくかわせたもんだっ!」
ガルサは少し困惑したように言うと、桟橋の方へと走り出した。
「おお〜〜い!!ちょっと待てよお〜〜〜っ!!」
走りながら青年に呼びかけるが、ガルサの声は聞こえなかったようで、
青年は、そのまま高台への細い坂道へと消えて行ってしまった。
ガルサが桟橋まで走りついた時、桟橋の中間辺りでまだバタついている、
ネオクックの姿があった。よく見ると、どうもその姿がおかしい・・・。
少し気になったガルサは、バタついているネオクックに近ずいて行く。
「ぐっ!・・・こ、これは?!!」
さすがのガルサも驚きの表情に変わった!!
なんと!バタつくネオクックは片翼、片足が切り落とされていたのだった!!
「うっ!片翼と片足を・・・。これじゃあ、飛ぶことも歩くこともできねえぜ!!
な、なんて冷酷な野朗だっ!!」
ガルサは青年の剣の腕に驚くよりも、ネオクックを哀れんだ。
「ギャー!!ギャギャーッ」苦痛の泣き声をあげ続けるネオクック!
「どうやら、相手が悪かったようだな!まっ、成仏するんだな!!」
ガルサはそう言って、背中の雷光刀を抜くとネオクックの眉間に突き刺した!
「ギッギーッ・・・。」
ネオクックは、最後の一声をあげると、桟橋からはみ出した片翼の重みで、
ゆっくりと、海へと落ちていった。
「じゃあな!あばよ!」
ガルサは、沈んでいくネオクックを横目で見ながら、桟橋からおりた。
そして、ガルサが桟橋から高台の方へと歩き出した、その時だった!!
「アギャーーッ!!」
ガルサの前にいきなり草むらから、3匹のランポスが飛び出してきた!!!
ガルサのいく手を阻むように、立ちはだかった3匹のランポス!
「あぁ〜?!てめえらと遊んでるヒマはねえんだよっ!」
ガルサはそう言うと、雷光刀ではなく、今度は両手にグローブのようなモノを
付けはじめた。そして、それこそは格闘を得意とするガルサの自慢の武器!!
モノブロスの硬い皮と、真紅の角でできた「ブロス・ナックル」だった!!
「ん〜?!じゃあ、悪いけど少し力入れさせてもらうぜェ!しらねえぞっ!!」
いつものようにコブシを突き出し、戦闘態勢に入るガルサ!!
「ギャギャーーッツ!!」1匹が、ガルサに飛び掛る!!
「ほらよっ!」
すばやく、かわすと同時にランポスの側頭部に強烈なパンチを叩き込むガルサ!!
「グシャッ!!」「ギエッ!」
ランポスの牙が、飛び散る!一撃で頭を割られ、血を噴出し倒れるランポス!!
強いっ!!
「トアーーーッツ!!!」
間髪いれず、後方に回り込んだランポスの顔面へカマイタチのような、
回し蹴りを浴びせるガルサ!!「シャッ!」物凄いスピードの蹴りが風を切る!!
「ギャッ!!」
「ボキッ!」という鈍い音をたて、首の骨を折られヨロヨロと倒れこむ、
2匹目のランポス!!
即効で2匹の息の根を止め、最後のランポスにコブシを突き出すガルサ!
なんというパワー!!なんというスピード!!なんという強さ!!!
そして、その力を示すようかのようにガルサの左肩に浮き上がる青い紋章!!
「オラッ!あとは、てめえだけだぜ?!どうするよっ?!!」
恐怖に怯える最後の1匹に、鋭い眼光を向ける猛者ガルサ!
ジリジリと後ずさりするランポス・・・。「ギ・・・ギィ・・・。」
ガルサが怒鳴った!!!
「かかってきやがれっ!!!」
ガルサの声にビクッとしたランポス。次の瞬間あっという間に草むらに飛び込むと,
慌てて森の方へと、逃げ去って行ってしまった。
ギドーの砂漠であのモノブロスと素手で戦いたがる猛者には、
ランポスなどは全く問題にならなかった。
ギドーの村では、「ランポスがガルサを避けて通る」という噂もあるほどだった。
3匹のランポスをかたづけ、高台へとあがったガルサ。
そのガルサに緑色の丘にポツンと立つ、1軒の小さな家が見えた。
「おっ!あれがきっと長老の家だな?!」
ガルサは扉の前まで行くと、扉を叩き、少し開いて中を覗いてみた。
「入るがいい。青い紋章の子よ。」
中から、しゃがれた老人の声がした。
「へ〜!よくわかったな?!じゃあ、じゃまするぜ!!」
ガルサはそう言うと、雷光刀を入り口に立てかけ、中に入って行った。
部屋の中には長老らしき老人と、ガルサを見て驚いている青年の姿があった。
「うっ!おめえは?!」
ガルサもその青年の顔を見て驚いた!まるで鏡を見ているようだった!!
「うむ、やはり兄弟じゃのう。瓜二つじゃわい・・・。ギドーから来たガルサよ、
まあ、こっちに来て座るがよい。」
長老にそう言われ、変な気持ちのままガルサはテーブルまでいくと、
ガルサにそっくりの赤毛の青年に話しかけた。
「俺はガルサだ!桟橋での事、一部始終見せてもらったぜ!!」
青年は立ち上がると、
「ああ、ネオクックですか、たまたま倒せたみたいですね!!
僕は、ショーンといいます。長老の手紙を見てルスカの村から来ました、
ガルサさん。いや、兄さんですよね?!」
そう言うと軽く頭をさげ、ニコっと微笑むショーン。
「あれがたまたまだとおっ?!ふざけるなっ!!それと兄さんは、やめろっ!
ガルサでいいぜっ!!」
そう言うとガルサは、ショーンの腰の2本の剣に目をやった。
「そうか?!おまえは双剣使いかっ!ふ〜ん、炎剣ねえ・・・。」
それは、「ツイン・ドラゴン」とよばれる最高の炎属性の双剣だった。
「まあ、そんなこたあ、どうでもいい!俺は親父にここに来て兄弟に会えと
言われて来た。どういうことか説明してもらうぜ!長老さんよっ?!!」
ショーンが続ける。
「僕もただ、長老の家に行き、兄弟に会えととしか言われなかった。
手紙には、(災い起こりし時、この子を我がカルドナの元へ)としか書かれていなかったし・・・。」
二人の問いかけに、長老カルドナは、
「ふたりとも、よく聞くんじゃ。」
一言そう言うと、少し間をおいてゆっくりと話しはじめた。
「おまえ達ふたりも、知っておろう。ここ1年ほどの間にモンスターの数が増え、
更に凶暴化しておることを・・・。
そして、人々を襲い死者の数も増えておるということもじゃ・・・。」
長老がそこまで言うと、柱にもたれ腕組みをしたガルサが、口をはさんだ。
「ああ!ここへ来るまでにイヤという程の死体を見たぜ!!
それが、俺達となんの関係があるってんだ!!」
「まあまあ、話を最後まで聞きましょうよ!」
そう言って、ガルサに微笑むショーン。
「うーむ・・・。おまえ達顔は瓜二つじゃが、本当に兄弟なのかのう。まあよい。」
p
長老はそう言うと、ガルサとショーンが生まれた日の事を話し、更に続けた。
「そして、同じ出来事が数百年まえにもこのロングストリートに起こったたという、
古の英雄による記録が残っておるのじゃ。そして、その時生まれた三つ子の肩には、
炎の紋章があり、その内のひとりには赤い紋章があった。
そして、その赤い紋章の子こそ、伝説の悪魔「ファイデル・カッサ」の生まれ変わり
だったのじゃ!成人になりその力を発揮しだしたファイデル・カッサは、邪魔になる
自分の両親を殺し、魔力を使いあまたのモンスターを作り出し、この世を死滅の世界へとおとしいれようとしたのじゃ!
数多くの兵士が、戦いを挑んだが悪魔の魔力には全く歯がたたず、その上カッサは
不死身の体で、どんな武器でも傷つけることはできなかったそうじゃ。
その恐ろしさに人々は、死を覚悟した・・・。
しかし、その恐ろしい悪魔カッサを自分の命と引き換えに倒した者がいた・・・。
それこそが、青い紋章を持つふたりの兄弟だったのじゃ!!」
ガルサとショーンが、思わず顔を見合わせる。そして、
「それじゃあ、今度もその時と同じ事が、起こっていると?そして今城にいる
僕達の兄オスカーは、悪魔カッサの生まれ変わりだと言うんですか?!」
そう言うとショーンが、テーブルに身を乗り出した!
「うむ、間違いないじゃろう・・・。その事を調べる為に凄腕のハンターを雇い、
今まで何十人も城に向かわせたが、誰ひとりとして帰ってきた者はおらん・・・」
長老が、そこまで言った時!
「キャアーーーッ!!」
外から、女の悲鳴が聞こえてきた!!
「ん!?どうした?!!」
「なんだろう??」
ガルサとショーンは、急いで外に飛び出した!!
「どうした!!」
そこには、空を見て怯えるひとりの少女の姿があった!そして、ショーンが叫ぶ!!
「リオソウル!!」
次の瞬間、ソウルの口から凄まじい勢いで、巨大な火球が吐き出された!!
「あぶないっ!!避けろーっ!!」
ガルサの声とともに、少女をかばい転がるショーン!!
ソウルの口から立て続けに3発の火球が吐き出される!!!
(ドカーーッ!!ドカーーッ!!ドッカーーーーンッ!!!)
火球は長老の家に全て命中し、家はコナゴナに吹っ飛んだ!!
「きゃ、きゃあーーーっ!!おじいちゃあーーーーん!!」
少女が悲痛の叫び声をあげながら、コナゴナになった家へと駆け出そうとした!
「あっ!あぶないから、ダメだよっ!!」
ショーンが、急いで少女の腕を掴んで引き止める。
「ショーン!!おまえはそのねえちゃんを守れ!!あいつは、俺が殺るっ!!!」
ガルサは雷光刀に右手をかざし、左コブシをソウルに向け突き出した!
そして、青い紋章が浮き上がる!!
「きやがれっ、バケモノっ!!!」
しかし、つぎの瞬間ガルサ達は、信じられない光景を目の当たりにする事になる。
ガルサ達の前方上空に滞空しているソウルから、地の底から搾り出すような
声が、聞こえてきたのだ!!
「グガガガ・・・、ソウルの目を通しておまえ達が見えるぞ・・・。
やはり、こんなところにいたか・・・グガガガ!!」
3人が、驚きの表情へとかわる・・・。
「しゃ、しゃべりやがった・・・?!」
ガルサが、思わず声を出した。ショーンと少女も呆気にとられている。
「グガガガ・・・、私の紋章を汚す青い紋章のクズども、会いたかったぞ!グガガ」
そう言うとソウルは、ショーンの方へと向きを変え、そして続けた。
「ギドーでは、思わぬ邪魔が入ったが、喜べ我が弟ショーンよ!!
おまえの村、ルスカの人間どもは全て私が殺してやったぞ!!グガガガガ・・・。」
いつも穏やかなショーンの表情が、その時変わった!!
「なっ!なんだとっ!!」
そう叫び、ソウルを見上げるショーンに向かって、ソウルが足に掴んでいた何かを
放り投げた!!
そしてゴロゴロとショーンの足元に転がりついたもの・・・。次の瞬間!!
「くっ!うわーーーーーーッ!!」
ショーンが狂気に似た叫び声をあげた!!
それは、ルスカの村でショーンを育ててくれた父親ラシアルの無残に引きちぎられた
生首だったのだ!!!!
「うっ!」「きゃっ!」
ガルサと少女は、思わず目をそむけた・・・。
「ぐあぁぁーーっ!!そっ、そんなっ!と、とうさーーん!!
う、う、うおぉぉーーーーーっ!!殺してやるうーーーーーーっ!!!!!!」
コブシを握り締め、怒りに燃え上がるショーンの左肩に青い紋章が浮かび上がる!!
「グガガガ・・・、おまえ達のようなクズに何ができる??
私はロングストリート城にいる。いつでも招待してやろう!!グガガガ・・・。」
そう言うとソウルは、見上げるガルサ達の上空高く舞い上がり、「ギェオーーッ!!」
と、一声叫ぶと北の空へと飛び去っていく。
「待ちやがれっ!!」
ガルサが叫んだが、ソウルはもうすでに遥か彼方の上空だった。
【第三章:運命のブラッディ・タワーへ】
育ての父親の首を抱きかかえ、悲しみに打ちひしがれるショーン・・・。
「ショーン・・・。」ガルサが呟く。
そんな中、少女はコナゴナになった家へと走り出した!
「おじいちゃあぁぁーーーーーん!!」
少女のその叫び声に我を取り戻す、ガルサとショーン。
ガルサが、ショーンの傍まで来ると肩を軽く叩いた。
「ショーン。これで包んでやれ・・・。」
ショーンが顔をあげると、ガルサが少し汚れているが大きな布を差し出していた。
「あ・・・。ありがとう、ガルサ・・・。」
ショーンは流れる涙を拭うと、父ラシアルを丁寧に布に包んだ。
ガルサがそれを見届けると、いつもの調子で叫んだ!
「ショーン!!じじいを助けるんだっ!!!」
「うんっ!助かるよ!!きっと!!!」
ショーンもいつまでもメソメソしていない。いや!青い紋章の子として、
メソメソなどしていられなかった。
3人は、コナゴナとなった焼け跡から、必死に長老をさがした!
「長老ーーーっ!!」
「じじいぃーーーーーーっ!!」 その時。
「おっ、おじいちゃんっ!!しっかりしてっ!!」
少女が、瓦礫の下敷きになり息も絶え絶えの長老カルドナを見つけたようだった。
ガルサとショーンが、急いで少女に駆け寄る。
そこには顔面血だらけになり、もうすでに虫の息となった痛々しい姿の長老が、
横たわっていた。
「おじいちゃん、おじいちゃん!!」
「じじい!しっかりしろ!!」
「なんてことだ!長老っ!」
そして、3人の叫び声にカルドナは、ゆっくりと片目をひらいた。そして・・・。
「あ、あ、あお、、い、もんしょ、うの子よ・・・。」
「しゃべるんじゃねえ!!じじい!俺が助けてやるっ!!」
ガルサがどなりつけた!
「わ、わしは、も、もうダメじゃ・・・。悲、、しき運命、、の子たちよ・・・。
おま、えたち、、だけが、のぞ、、みの、光じゃ・・・。ぐがっ!
ブ、、ブラッディの森、、の、、ブラッ、、ディ、、タワーへ・・・・・。
そして、この、、世界、を、わし、、の孫、ジョイを守っ、、てくれ・・・。
あ、、おい、もん、しょうの、、子よ!たのん・・・・うっ・・・・。」
ガルサ達が見守るなか、
長老カルドナは、死直前に最後の力を振り絞り、ガルサ達に未来を託すと絶命した・・
静かに目を閉じたカルドナの頭をかかえ、泣き崩れる少女・・・
「うわーーん!!おじいちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
少女の悲しみに泣き叫ぶ声が、丘中にコダマした・・・。
3人は海の見える場所まで、カルドナとラシアルを運ぶと、二人を並べて
埋葬した。 その丘からは、ルスカの村がある島が遥か向こうに見えており、
その島からは黒煙が上がり続けていた。
そして、よく見るとロングストリートのところどころからも黒煙が上がっている。
「とうさん、島のみんな!この仇は必ず僕がとるから!たとえ相手が兄でも・・・。」
そう言うとショーンは、コブシを握り締めた。
その横でジョイは、小さな墓を作りカワイイ花を一輪飾ると両手を握り合わせた。
「もういいだろう・・・。俺はあいつを生かしちゃおかねえ!ブチ殺してやる!」
腕組みをして、二人の様子を見ていたガルサが言った。
そして、ショーンが勢いよく立ち上がると、
「うん!オスカーは絶対に許せない!行こうっ!ガルサ!!」
そう言うと、大海原を背にガルサとショーンは左コブシを同時に突き出した!
二人の左肩の紋章が、鮮やかに浮かび上がる!!
「あっ、その肩の紋章!!おじいちゃんの言ってたとおりだっ!!」
祈りを終え、ガルサ達の紋章を見たジョイが、呟いた。
ショーンが、ジョイの方に振り向くと驚いたようにたずねる。
「ジョイ!君は長老から何か聞いてるのかい?!」
「うん。悪魔を倒せるのは青い紋章を持つ者だけって、言ってた・・・。それに
悪魔の魔力による直接攻撃は同じ血が流れる者には、効果がないって・・・。
でも・・・。」
「でも、なんだ?!」」ガルサが、つっこむ。
「でも、古の英雄が使った 伝説の剣 も必要って言ってた・・・。
そして、その伝説の剣はブラッディ・タワーにあると・・・言ってました・・・。」
そこまで言うとジョイは、ブラッディの森のある方角を指差した。
ガルサとショーンはその方角へと、振り返った。
「ブラッディの森のブラッディ・タワー?!!・・・。ガルサ知ってるかい?!」
ショーンが、ガルサの顔を覗きこむ。
「俺は、何度もブラッディの森に行ったぜ!しかし、あそこにはそんな物はねえっ!」
ガルサが、指を鳴らしながら答えた。
「な、なんだって?!ジョイ!君は知ってるんだろ?!」
ショーンが、今度はジョイの顔を覗き込んだ。
ジョイは首を横にふると、ボソっと答えた・・・。
「・・・ありません・・・。」
この世の運命、そして3人の運命を左右するであろう謎のブラッディ・タワー。
果たしてガルサ達は、この姿なき「血の塔」へとたどり着くことができるのか?!
そして、「伝説の剣」を手にすることができるのか?!
「ちっ、そんな、回りくどいことする必要なんか、ねえぜ!それにオスカーの
魔力が俺たちに効かねえなら、話はかんたんじゃねえか!!」
ガルサが両手を広げ、めんどくさそうに二人に言った。
「ガルサ、僕は長老、そして古の英雄の言葉を信じるよ!!だから僕は
たとえ無駄だとしてもブラッディの森に行くよ!!必ずそこに何かがあるはずだ。」
気を取り直し、決意をかためるショーン。
そしてジョイも続けた。
「わたしも、おじいちゃんの言うことは信じています。だから必ずあの森のどこかに、
タワーはあるはずです!!わたしは、おじいちゃんの仇をとるためにショーンと
一緒に森へ、そしてタワーへ行きます!!」
ジョイの言葉にガルサとショーンは驚いた!!
「な、なんだと?!一緒に行くだとっ?!」
「だめだよ、ジョイ!君は僕達が街まで送っていくから!!」
しかし、ふたりの心配をよそに、ジョイの決意も固かった。
「私は行くの!たとえひとりでも、おじいちゃんの言うブラッディ・タワーへ!!」
ジョイの強い決意に顔を見合わせる二人。 そしてガルサが頭をかきながら言った。
「ああ!わかったよっ!!じゃあ、3人でそのありもしねえブラッディ・タワー
とやらへ、さっさと行こうぜっ!!」
ショーンもジョイの固い決意には、勝てなかったようだ。
「うん。今からすぐに森へ向かおうガルサ!!ジョイ!君のその強い意志に
必ず僕は応えてみせるからね!!さあ!行こうジョイ!ガルサ!!」
半信半疑のガルサ、長老の言葉を信じ、打倒オスカーに燃えるショーンとジョイ。
そして3人は、謎のブラッディ・タワーを目指し緑の丘をあとにした。
この時ガルサとショーンは後にブラッディの森で、想像を絶する出来事を目の当たり
にすることなど、知る由もなかった・・・。
そして3人が、エル・ブルーホの街の近くまで来た時だった。
「うわーーーーーーっ!!助けてくれえーーーーーっ!!」
「きゃーーーーーーっ!!誰かあーーーーーーーーっ!!」
街の入り口の方から、大勢の悲鳴が聞こえてきた。
見ると、街からは煙があがり、入り口のあたりに大きな飛竜らしき姿が見える。
「大変だ!!街の人々が襲われている!!助けに行かなきゃ!!」
ショーンが叫んだ!!
「うん!早く助けに行かないと!!ガルサさん!!」
そう言ってジョイが、ガルサの方へと振り返る。
「ちぇっ、めんどうくせえなあ・・・。」
ガルサがそこまで言った時には、ショーンとジョイは入り口へと駆け出していた!!
「あれれ!ちぇっ、行きゃあいいんだろ!行きゃあ。」
ガルサはそうぼやくと二人の後から、入り口へと走りだした。
そして、街の入り口までたどり着いた3人の目の前には地獄絵が描かれていた!!
体をバラバラにされた死体、腕を食いちぎられ泣き叫ぶ者、いたる所に転がる
ハンターの無残な死体。
街の入り口は、まさに血の海と化していた。
「うっ、ひ、ひどい・・・!。」ショーンとジョイが同時に声をもらす。
その血の海の中で、口の周りを血だらけにして雄たけびを上げる飛竜!!
それは、砂漠にしか生息しない飛竜、ドスガレオスだった!!
いや!よく見ると、茶色の体に赤いマダラ模様があるのが確認できる!!
それは、オスカーの送り込んだネオガレオスだったのだ!!
そして、そのネオガレオスに何人かのハンター達が必死に攻撃を繰り返していた。
しかし、ネオガレオスにはほとんどダメージを与えられない・・・。
「お〜い!おまえ達大丈夫か〜〜〜〜??!!」
ガルサがハンター達に声をかけると、3人はハンター達の元へと駆け寄った。
すると、ひとりのハンターが、ガルサに気づき安心したように言った。
「あっ!あんたは、酒場の・・・。た、たのむ!!あのバケモノを倒してくれ!!
なんとか俺たちが、援護するから!!」
ガルサがハンターをチラっと見ると、ジョイの腕を掴んで答える。
「邪魔だから、てめえらはこのねえちゃんと他の人々を安全な場所へ連れて行け!!
ネオガレオスは、俺とショーンでかたづける!!」
そう言うとガルサはジョイをハンター達に突き出した。
「わ、わかった!で、でもあいつを相手にたったふたりじゃあ・・・」
「とっとと行きやがれ!!ジョイ!みんなを安全な場所へ連れて行け!!」
そしてショーンが、いつものようにジョイに微笑みかける。
「ジョイ!みんなを頼んだよ!!ガルサがすぐに終わらせちゃうよ!!」
「うん!わかったわ!!」
すかさずジョイは頷くとハンター達と一緒に人々を安全な場所へと誘導を始めた!!
「グアオーーーーーーッ!!」
そんなガルサ達の前方で、勝ち誇ったように雄たけびをあげ、ガルサ達に今にも
襲い掛かろうとしているネオガレオス!!
「今の内にいくらでも、吼えとくんだな!!俺とやろうなんて100年早いぜ!!
まっ、それに気づいた時には遅せえけどよ!!いくぜ!!ショーン!!・・・ん?」
ガルサがそう言っている間にすでにショーンは、ネオガレオスめがけて飛び出していた
「ツリャーーーーーーッ!!」
ショーンの赤い髪が、あっという間にネオガレオスの股下を走り抜けた!!
と、同時にネオガレオスの股下で、グラディウス独特の炎があがった!!
少しの間があいた。 次の瞬間
「ギョオアァーーーーッ!!」
叫び声をあげ、ショーンに襲い掛かろうとしたネオガレオスの体が大きく傾きいたかと
思うと、ドド〜ンと大きな音をたてて倒れたのだ!!
一瞬人々には何が起こったのかわからなかった。ガルサを除いて・・・。
しかしすぐに人々にも状況が飲み込めた。そして驚愕した!!
それは、倒れたネオガレオスの傍に今の今まで体の1部だったネオガレオスの左足が転がっているのに気づいたからだったのだ!!
「おおーーーーーーっ!!す、すごいぜーーーっ!!!」
人々からどよめきがおこる!!そのどよめきの中、片足を切り落とされ、
苦痛に叫び声をあげ、這いずりまわって暴れまくるネオガレオス!!
ショーンが叫んだ!!
「ガルサっ!!そっち行ったよっ!!」
そして怒涛の如く突進するネオガレオスのその先には、雷光刀を構えたガルサが
待ち受けていた!!
大きな口をあけ、まっすぐにガルサに向かって突進してくるネオガレオス!!
人々から、悲鳴があがった!!
「きゃーーっ!!潰されちゃうーーーーっ!!」
「避けろーーっ!!」
人々の悲鳴の中、雷光刀を構えたまま動かないガルサの目前まで迫ったネオガレオス!
人々は、絶望を確信して目をつむった・・・!。
次の瞬間ニヤリと笑うとガルサが呟いた!!
「ジ・エンド!」
(ドガーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!)
ネオガレオスの猛烈な突進を真っ向から、受け止めた猛者ガルサ!!
「ギヤォォーーーーーっ!!」 (ズザザザーーーーーっ!!)
そして物凄い砂煙が上がり、人々の視界からガルサとネオガレオスの姿が消えた!!
ショーンがたまらず、叫ぶ!!
「ガ、ガルサーーっ!!」
そして人々がそれぞれに声をあげ、状況を確かめようとしていた。
「あいつは、どうなったんだ!?」
「ガレオスは、どうなった??!!」
そんな、人々の目の前から砂煙が少しづつ消えていく・・・。
やがて、その中に大きなシルエットが浮かんできた。
そして完全に砂煙が、なくなった時!!
そこには、信じられないような光景が・・・・!!
それはネオガレオスの猛烈な突進に後退しながらも、寸分のずれもなくネオガレオスの
眉間に雷光刀を貫いている猛者ガルサの姿があった!!
ガルサの目の前には、大きなネオガレオスの顔があった。
そして、その虚ろなネオガレオスの目と目が合うと、ガルサが呟いた。
「おめえよう!俺を誰だと思ってるんだ?!!」
そう言うとガルサは眉間から雷光刀を引き抜き、顔面を蹴り飛ばした!!
グニャリと地面に顔面を落とし、生き絶えるネオガレオス。
すかさず喜びの歓声をあげる人々!!
「やったぜーーーーっ!!」
「すごいぜ!!ギドーの兄ちゃん!!」
そしてショーンとジョイが、すぐさまガルサに駆け寄ってきた。
「さっすが兄さん!!あっ、いや、ガルサ!!」
「ダメかと思いました・・・。ガルサさん!!」
ガルサの傍まできた二人に珍しくガルサが微笑んだ。
しかし次の瞬間!!
ドドーーーーーンっ!!という爆音とともに歓声をあげていた人々が炎に包まれた!!
「ぎゃーーーーーっ!!」
一瞬にして歓声が、悲鳴へと変わった!!
「な、なんだっ?!!」
「えっ?!」
「うっ!!」
振り返ったガルサ達の目の前には、火だるまになって次々と倒れていく人々の姿が!!
「一体どういうことだ?!!」ガルサが叫んだ!!
「あっ!!」ジョイが上空を指差して驚いている!!
「オ!オスカー!!」ショーンが叫んだ!!
見上げるガルサ達の上空には、憎っくきソウルの姿が!!
そしてその背中には、不敵な笑いを浮かべ金色の髪の毛をなびかせたオスカーの姿が!!
「はははは!クズどもは死ね!!地獄の業火に包まれてこそおまえらにはふさわしい!
気分はいかがかね?!青い紋章の救世主とやら! は〜〜はっははは!!」
バババンッ!!ソウルめがけ数人のガンナーがタンクメイジで狙撃を試みた!!が・・
あっという間にソウルの吐き出す巨大な火球を受け次々と倒れるガンナー達。
「てめえだけは、許せねえっ!!とっとと降りてきて俺と勝負しやがれっ!!」
オスカーを見上げ、怒りに燃え上がるガルサ!!
「ルスカのみんなの仇、ここでとらせてもらうっ!!オスカーっ!!」
ショーンが、双剣ツイン・ドラゴンを構え叫んだ!!
「いいだろう!!青い紋章のクズども!!まずは、これだ!!燃え尽きろ!!」
オスカーが得意げに言った瞬間、ソウルがガルサ達めがけ巨大な火球を吐き出した!!
と、その時だった!!(キッーーーーーーーーーン!!)
ソウルが、火球を吐き出すと同時にソウルの目前で閃光玉が炸裂した!!
「ギエーーーーーーッ!!」
叫び声とともに落下するソウル!!
火球は見事にガルサ達からはずれ、地面に大きな穴を空けた。
そして大きな音をたて、地面に叩きつけられるソウル!!
更にオスカーもその場に転がり落とされた!!
ジョイの投げた閃光玉が、ものの見事に決まったのだ。
このチャンスをガルサ達が見逃すはずは、なかった!
「いいぞ!!ジョイ!いくぞっ!!ショーン!!」
そう言うとソウルに向かって、猛然と切りかかるガルサ!!
「そっちは、任せたよ!!覚悟しろっ!オスカー!!」
すかさずオスカーに向かって、駆け出すショーン!!
「くっ!おのれ!!クズども・・・。バラバラにしてやるっ!!」
物凄い形相で起き上がったオスカーが、ショーンに向かって両手を突き出した!!
次の瞬間、オスカーの両手から電撃が放たれ、目前のショーンを直撃した!!
「ぐあっ!」思わず目をつむるショーン。
「ショ、ショーーーーーーン!!」
ジョイの悲痛な叫び声があがった!!
しかし・・・。
オスカーの放った強烈な電撃は、何事もなくショーンの後方へと走り抜けたのだ!!
3人の頭の中に長老カルドナの言葉が蘇る。
「同じ日に生まれ、同じ血の流れる者には邪悪な魔力は無効化される」
長老の言ったことは、本当だった!!
「ぐっ、やはりこいつらには、魔力は効かぬか!!」
そして、オスカーが悔しそうに呟き、腰の長剣を抜くと同時だった。
「ツリャーーーッ!!」
ショーンが素早くオスカーに斬りかかり、その体が青いオーラに包まれた!!
怒りに燃えるショーンの鬼人乱舞がオスカーを見事に捕らえたのだ!!
そして、ソウルを相手にしていたガルサが、その光景チラっと見ると呟いた。
「終わったな・・。」
ガルサもショーンも勝利を確信した!! しかし・・・・。
次の瞬間、赤い髪の毛がゆっくりと地面へと沈んでいく・・・・。
金色の髪ではなく、赤い髪のショーンが・・・・。
第四章:ギドーを守った者
「フンっ!かわいいものだ!青い紋章のクズに赤い紋章の私が倒せるはずがない!
「バカめっ!!」
オスカーは、ショーンから剣を引抜くと、ショーンの頭を踏みつけた。
「ショーーーーンっ!!」
ガルサが叫び声をあげ、一瞬ひるんだ瞬間!!
「ギエォォーーーーーーーーっ!!!」
ガルサめがけ、猛烈な突進をしかけたソウル!!
「ぐあっ!」
ソウルの猛烈な突進を受け、吹っ飛ぶガルサ!!
建物の壁に叩きつけられ、もうろうとするガルサの目に、今にもガルサめがけ、
ブレスを吐き出そうとするソウルの姿が見えた。
「くそっ!だめか!!」
ガルサが覚悟を決めた、次の瞬間!!
ものすごいブレスの音が耳に響いた!!
「くっ!!」
思わす目を閉じたガルサ!!
と、同時に(ドド〜〜ン)と何かが、吹っ飛ぶ音がした!!
「ん!?」
目を開けたガルサのその前方には・・・・。
なんと!!物凄いブレスを何連発も受け、吹っ飛んでいくソウルの姿が・・・。
そして、その上空には、ソウルめがけブレスを吐き続けている、
火竜リオレウスの姿があった。
「キ、キロス!!!!」
キロス:ギドーの村でガルサが幼い頃から一緒に育った、何万年に一匹と言われる
リオレウスの変異体で、見た目は変わらないが、唯一牙が長く、火炎袋が
異常に発達しているため、ブレスの威力及び連続性が普通の火竜とは、
段違い!!ギドーの村では、神に一番近い者と言われている。
ガルサの目に輝きが戻った!!
「おのれ!またしてもギドーの火竜め・・・!!キサマもろとも・・・ぐあっ!」
キロスの猛烈なブレスの猛攻にひるむオスカー!
凄まじい攻撃を続けるキロスに、さすがのソウルも手も足も出なかった。
もうキロスは既に何発のブレスを吐いていることだろう。 その時。
「ゴアァァーーーっ!!」
「この場から、立ち去れ!!」
と言わんばかりにキロスが吼えた!!
次の瞬間爆炎渦巻く、その中からソウルの足につかまったオスカーが、
上空へと舞い上がった!!
「ガルサ、そして火竜!!この場はいったん見逃してやる!だが、覚えておけ!!
おまえ達では私は倒せない!!ハーハッハッハッ!!」
そして物凄いスピードで城の方へと飛び去っていくソウルとオスカー!!
「クソっ!待ちやがれ!オスカー!!」
額から血を流し、追いかけようとするガルサの前にゆっくりとキロスが舞い降り、
ショーンをやさしく地面へ下ろした。
「ショーン!しっかりしろ、ショーン!!」
見るとショーンの腹部には、血がにじんでいる。
しかし、目を閉じたショーンにはまだ息があった。
「ジョイ!ジョイ!!ショーンを早く医者へっ!頼む!ジョイっ!!」
ジョイが急いでガルサのもとへと駆け寄ってきた。
「ガルサさん!ショーンは大丈夫なんですか!?」
「ああ、ショーンはこれくらいでは、死にはしない!ジョイ、おまえはショーンを
診ててやってくれ!!俺はすぐにブラッディの森へ行く!!」
「わかりました、ガルサさん!!気をつけて!!みんなあーーーーーーっ!!!」
ジョイはそう言うと、町の人を呼んでショーンを町の中へと運び込んでいった。
ロングストリート城の方向を睨みつけているキロス。
そのキロスの足元まで来るとガルサが言った。
「キロス!助かったぜ!!ギドーの村も守ってくれたみたいだな。恩にきるぜ!!
だがよ〜、本当の戦いはこれからということだぜ!!しかも俺とおまえだけでな!」
ガルサのその言葉を聞くと、いきなりキロスはブラッディの森へと向き直った!
「ゴアァァーーーーーーーーーっ!!!!」
そして一声吼えるとガルサをつかみ、ブラッディの森へと飛び立つキロス!!
「キ、キロス!!おまえ、なぜ!!??」
町から飛び立つと、キロスは物凄いスピードでブラッディの森へと飛んだ!!
ガルサの目に見る見るブラッディの森が近づいてくる。
もう、すでに日は落ちかけている。
そして、ちょうど森の中心の沼地上空にきた時だった、キロスが何か感じたのか、
その場で停止した。
「どうした!?キロス!ここには何もないぜ!!さあ、はや・・・・・・・ん?
ぐっ!ぐあーーーーっ!!!」
そこまで言うと顔をしかめ、急に苦しみだすガルサ!!
キロスの足につかまれたまま、原因不明の激痛に襲われた猛者ガルサ!!
ガルサに一体なにが・・・・・。
「ぐぅああーーーっ!!」
ガルサの顔面から、血の気が引いていく・・・。
苦しむガルサの左腕の紋章が、青と赤に色が変わり続けている!!!
そして、激痛に耐えるガルサの目に映ったものとは・・・・。
なんと!!沼地の中心から血の様な真っ赤な塔が上空へと伸び続けているではないか!
更にその真っ赤な塔は、ガルサの激痛とともに空へ向かって高くなっていく!!
そして、ガルサの激痛が頂点に達し、左腕の紋章が紫へと変わった時!!!
ガルサの目前には、完全なブラッディ・タワーが遂にその姿を現わしたのだった!!
第5章:兄オスカー
夕闇に聳え立つ、ブラッディ・タワー!!
普通の人間なら、気を失うか、悪くすれば絶命しかねないような激痛に耐えたガルサ。
そして、痛みが和らぎ、うっすらと目を開けたガルサの目の前には、
入り口も窓もない、只表面が、真っ赤に波打つ異様な塔が聳え立っていた!!
その頂点と同じ高さで、滞空しているキロス。
「こ、これが、ブラッディ・タワーか!?」
直径10メートル程の円形の頂きには、高さ1メートルくらいの囲いがあり、
その円形の真中には、大きな燭台がひとつポツンとあるだけだった。
「キロス!降ろしてくれ。」
ガルサは、キロスの足をポンと叩いて合図した。
「ゴアァァーーーーッ!!」
一声吼えてガルサに答えると、ゆっくり頂きへとガルサを降ろすキロス。
「すまねえ、キロス!おまえは少し上空で待っててくれ!」
その言葉を聞くとキロスは上空へと舞い上がり、ガルサを見守るように、
塔の真上で、停止した。
そして、頂きへと降りたガルサは、腕組みをすると辺りを見渡した。
「しかし、こんな塔が実際にあるとはな!!見たところこの塔にはなにも、
ねえじゃ、ねえか!!真っ赤な塔の頂きにこの燭台だけかよっ!!」
ガルサがそう言って、中央の燭台に手をかけた時だった。
「ゴアァァーーーーーーーッ!!」
上空のキロスが何かを感じ、叫び声をあげた!!
「ん!?どうした!?キロス!!」
ガルサが上空のキロスを見上げたその瞬間、ガルサの目の前にある燭台に
真っ赤な炎が灯った!!
「うおっ!!こ、これは!?」
突然のことで、驚くガルサの前でその炎は、赤から青へ、青から赤へと点滅を
繰り返し始めたのだ!!
そして、その点滅が激しさを増し、遂にはその炎は紫色の炎へと変化すると同時に
点滅は停止してした。
更にその炎の中から、ガルサに語りかける声がしてきたのだった!!
「我が弟ガルサよ、よく来た!そしてタワーの試練によく耐えてくれた!
それは、聞き覚えのある声だった。
「て、てめえは、オスカー!!」
とっさに左コブシを突き出すと、戦闘態勢にはいるガルサ!!
メラメラと燃える紫色の炎の中から謎の声は、更に続けた。
「ガルサ!いかにも私はおまえの兄オスカーだ。だが、悪魔カッサの意識ではなく、
本当のおまえの兄、オスカー・ロングストリートの意識としておまえに語りかけて
いるのだ!そして、本当の兄としておまえに語りかけれるのは、この血の塔でしか
方法がないのだ!!
ガルサよ!急がねばならない!!カッサはもうすぐ今以上に凶悪なモンスターを
召喚できる力を身につける!その前になんとしてもカッサをこの世から葬り去らねば
ならない!そしてガルサよ!その全ては、おまえにかかっているのだ!!」
ガルサは、戦闘態勢のままそこまで聞くと、炎にむかって問い掛けた。
「おまえが、俺の本当の兄というのは信じよう、だが、この血の塔には何もねえじゃ
ねえか!!長老の話ではオスカーを倒せる唯一の剣がここにあると言ってたぜ!!
古の英雄が使ったといわれる「伝説の剣」がよお!!
一体そんなものが、どこにあると言うんだ!?えぇっ!おいっ!!」
ガルサの言葉に少しの間をおくと、炎はゆっくり語りだした。
「ガルサよ、この塔にそんなものはないのだ・・・。」
「なんだとっ!?ふざけるなっ!!」
「ガルサよ、よく聞くがよい。この塔には「伝説の剣」などというものはないのだ。
ガルサ、おまえの背負っているその剣、その雷光刀こそがこの血の塔で悪魔を倒す、
伝説の剣となるのだ・・・。」
「な、なんだって!?それはどういうことだ!?」
困惑するガルサに炎は続けた。
「赤い紋章の悪魔を倒す方法はただひとつ!!それは青い紋章の血とまじえる
以外方法はないのだ。ガルサよ!その雷光刀で自らの肩の紋章をえぐり、その流れ出る
血を雷光刀に塗りつけるのだ!!そして紫の炎にかざし、雷光刀に青い紋章の血を
焼き付けるのだ!!さすれば、おまえの雷光刀は悪魔をもひと突きで葬り去る、
伝説の剣「ブラッディ・ソード」となろう!!
・・・だが、赤い紋章の血と青い紋章の血が交じり合ったとき、放出されるエネルギー
には、計り知れないものがあり、大爆発を起こすことだろう。
・・・ガルサよ!我が弟よ!この意味わかってもらえるか?・・・